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2019年05月20日

2019年J2第14節 鹿児島ユナイテッドFC-横浜FC「ないのか?あるのか?」

1-1で迎えた試合最終盤、鹿児島・堤は自ら自陣ペナルティエリア内で犯したファウルの判定に対して「ないよ、ないよ」と叫んでいた。そのファイルはすなわちPKの献上を意味していたからだ。横浜のサポーターにとっては、それまで堤が大したプレッシャーでなくても転んでしまうことに「(ファウルは)ないよ、ないよ」と内心思っていた。彼がそのファウルの基準を作ったのだから、皮肉なものである。
そのPKをイバがしっかり決めて横浜は1-2と逆転。残りの時間、鹿児島の反撃に遭うも守備陣がしぶとくボールをはじき出して横浜は下平監督の初陣を飾った。



それにしても鹿児島のスタジアムは面白い。アウェイ側のバックスタンドでは振舞酒として、スポンサーの長島研醸からさつま島美人と黒島美人がアウェイサポーターにも振舞われていた。おかげで横浜サポーターは飲めや歌えやの大騒ぎで、冷たい雨の中でも常にガソリンを充填しながら応援し続けたようなものだ。雨なので適度に酔いも醒めながら高いテンションのまま応援していた。鹿児島の粋な計らいはありだった。(ちなみにハーフタイムで用意されていた焼酎が底をついたのもありだ!)

ゲームは下平新監督の方向性がこの試合で出たかどうかわからないが、非常にベーシックな4-4-2のシステムで臨んだ。2トップにイバと初スタメンの草野のコンビ。イバにボールを集めて、草野が周辺をセカンドトップとして駆け回るシステム。この既視感は、イバと津田の2トップだろう。あの時と同じだった。
それとタヴァレス前監督の解任から数日の横浜にとって複雑な戦術を落とし込む時間はないから、どうしてもイバに集める方がスタイルもはっきりする。ロングボールのカウンターかと言えばそうでもなく、シンプルに縦パスをサイドに展開して、ゴール前に迫る戦いだろう。それでも鹿児島相手には良い感じだった。



右サイドに配された中山も縦へのボールを追い、草野も裏へ抜けるタイミングを窺っていた。個人的には、彼らに共通するのは経験とスキルの不足。相手と対峙した際に、もう少し違う方法でアプローチをすれば前半でゲームは決まっていた可能性があるほど、横浜の右サイドの攻撃は成功していた。もっとも、強い雨の中の試合ではボールコントロールも難しい局面もあるし、下手に手数をかけてミスをして奪われて一気のカウンターという事もある。

それがあったのが、前半34分。鹿児島陣内で佐藤がボールを奪われて、鹿児島一気のカウンターを許す。右サイドの鹿児島・酒本のクロスをGK竹重が手のひらを広げてキャッチにいったが、水分を含んだボールは彼の手からこぼれ落ち、落下点にいた鹿児島・ニウドに豪快に決められて失点。雨の日のキャッチングは慎重を期す必要があるが、この瞬間も競る相手もおらず彼一人が伸身のジャンプで落下点にいたので取れると判断したのだろう。だが、想像以上に回転していたボールは手に収まらずこぼれてしまった。体勢を見る限りだと左手が相手陣内に流れているので、風に想像以上に流されてしまった感はある。ただ、個人的にはああいう密集の中でのクロスボールは弾いて問題なかったのかなと思う。ちょっとこのプレーは、自分の中ではなかった。

前半リードを許して折り返した横浜だったが、流れはさほど悪くない。失点へのミスは竹重のキャッチミスだけ。それ以外は正直殆ど崩された形はなかった。このチーム一番のキープレーヤーの五領の不在も大きい。柏を沈めた左足は、J3で戦っていた頃から嫌だなと感じていた。その彼がいない鹿児島はゲームメイクできる選手が不在で、厚みという部分を感じなかった。怖いのはニウドだけになっていた。



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posted by おかき at 20:21| Comment(2) | 横浜FC2019観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月14日

2019年J2第13節 横浜FC-FC町田ゼルビア「灰色の夢」

「白黒つけた方がよい」と締めていた仮の原稿。写真を掲載してあげるだけだったがそこに飛び込んでいたのはタヴァレス監督解任の報。最後の采配となった町田戦もどっちとも言えないグレーな結果でしかなかった。前半6分、町田ジョンチュングンのクロスを、町田・森村がダイレクトボレーで流し込んで町田が先制。町田相手に開始早々の失点はお家芸なのだろうか。昨年のアウェイ町田戦も、2017年の等々力で行われた町田戦もそうだ。過去に引きずられてはいけないが、2018年途中まで横浜に所属していたジョンのアシストというところも、後ろを振り返りたくなる試合展開だった。



町田のプレッシャーは、各選手が述べている通り、片方のサイドに寄せて一定の空間をコンパクトにしてボールを積極的に奪い、奪ったらジョンと富樫という前線に素早く当てて攻略をするシンプルでかつ、高いフィジカルが求められる戦術。相馬監督は一貫してこのアプローチを敷いてJ2を戦っている。
横浜は今節またしても戦術を変更。急造4バックにして完膚なきまでに叩きのめされた前節からその反省で3バックに戻す。戻したのか、予定通りだったのか、柔軟なのか、首尾一貫していないのか形容の仕方はたくさんある。しかし、結局のところそれで今シーズンは波にのれなかった。タヴァレス監督の人柄を見にスタジアムに足を運んでいる訳ではない。好々爺の中田元監督も人情味溢れる監督であった。しかし、昇格は叶わなかったが彼の解任劇には賛成していない。チームを熟成させている感は非常に伝わっていたからだ。主力のイバやカルフィン・ヨン・ア・ピンが欠場してチームの勢いがなくなったのは残念ではあるが、今のような毎試合スタメンが変わるサッカーでは何年やっても戦術は熟成しない。横浜の夢ってなんだろうと失点して考えていた。相手の前に、まず自分がどうしたいか。



横浜としてはこの狭いゾーンのプレッシャーをサイドチェンジからかいくぐろうと、町田を揺さぶった。中里をサイドで使うのは開幕戦の後半以来だった。その時とは見違える動きで、前の松浦とのパス交換から何度かクロスボールを上げていた。ただ、前線は常に一枚しかおらず、決定機を迎えるのは厳しい状態だった。
そう、ジョンを懐かしむなら、横浜の攻撃陣は野村不在が大きい。中盤で汗をかき、守備にも攻撃にも必死に参加した選手がいない。彼がそこを一人でこなしていたから、横浜の攻撃は循環していた。今は松浦は前線にいて、この試合は松井はボランチで出場するも、どうしてもこの間を埋めることが出来ないでいる。そういう時に軸というものがないと、切り替えるのか継続するのか、相手を見てばかりのサッカーでは貫けない。

見どころもなく前半終了。そしてお決まりの様に、イバと斉藤光毅が後半から登場。システムを4-2-3-1に変更。前半と後半で色が正反対になるのも今年のタヴァレス采配の特徴だ。基本的に前半黒、後半は白。その中間の灰色になることが少ない。この2人をいれて早速効果が出る。縦に抜けた中里に斉藤からスルーパスが入ると、この折り返しを町田DFが触れてオウンゴールとなって1-1の同点に。



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posted by おかき at 16:15| Comment(0) | 横浜FC2019観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月06日

2019年J2第12節 横浜FC-京都サンガF.C.「シャッフル疲れ」

後半23分、松浦に代えて松井を入れてから横浜は動かなかった。交代枠は余っていたのに、2点差だというのに。無論、交代することが必ずしも良い結果に結びつくとは限らないのは認識しているが、それでもタヴァレス監督のお気に入りの4人の攻撃陣イバ、戸島、レアンドロ・ドミンゲス、そして斉藤光毅が揃ってしまうとそれ以上ここに手を入れることを良しとせず、結果残りの約25分は何の創造性も希望もないゲームになってしまった。



前節の柏戦での引き分けで感触を得たのか、横浜は4バックにシステムを変更し、3ボランチでイバ戸島の大型FWを2トップに据えた。4-3-3と見るか、4-3-1-2とみるか。ところがこれがまるで機能しない。右サイドは常に数的不利を招いていた。この試合右サイドバックに入った中山は、そもそも攻撃の選手で難しい役回りであるのに、その上これまで出場していた左ウィングバックではなく右サイドバックでは勝手が違った。京都はここに3人の選手で崩しにかかってくるが、横浜は右サイドバックと右ボランチでは、3人目のケアを整理できず何度も突破を許してしまった。スライドすると逆サイドに展開されてずっと走り回らされる。誰がどうケアするのか選手たちにも戸惑いがある様に感じた。まだシャッフルするのか。

このシステムが小屋松対策なのか11節を終えてこのシステムが最も機能していると見たのかはともかくとして、システムを頻繁に変えると選手間の連携や呼吸が中々深まらない。加えて選手のポジションもシャッフルすると混乱すら引き起こす。ディフェンスラインで田代は懸命にバランスを取ろうとするが、前半12分京都石櫃に上げられたクロスに、フリーで大野に飛び込まれて先制点を許す。3バックだと基本的にマンツーマンであるが、4バックだとゾーン。この間に入ってくる選手を誰が面倒みるのか。試合前の指示や想定で個人個人はイメージ出来ていても、それが共有されていても、理解までには時間がかかる。この前半12分の失点も、守備陣は4枚、京都の攻撃陣は3枚と横浜が数的優位ともいえるが、中央ではセンターバック2人と相手攻撃陣3枚と見るなら数的不利となる。

サイドを幾度も突破されて、何とか跳ね返すというひどく低調なゲームで時間は過ぎていったが、前半アディショナルタイムに横浜は同点にする。左の袴田のロングフィードのこぼれ球を渡邊がマイボールにしてイバに預ける。反転したイバは走りこんできたレアンドロ・ドミンゲスにパスを送ると、折り返しを戸島がダイレクトでゴールに流し込んだ。3人の動きだけで横浜はゲームを振り出しに戻した。ここまではまだ救いがあった。


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posted by おかき at 19:31| Comment(4) | 横浜FC2019観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月29日

2019年J2第11節 柏レイソル-横浜FC「信じる道を貫き続ける難しさ」

両チームの死力を尽くしたゲームは結果的にはスコアレスのドローとなった。横浜としては、柏の攻撃を受け止めながら細い攻めから相手のゴール前に迫ったが、後半決定機を中々作り出せなかった。それでも、タヴァレス監督としては一定の満足をしているようだ。



タヴァレス監督はどちらかといえば守備からサッカーを考えるタイプだと思う。この意味は、相手の良さを消すこと。相手の良さを消すために、2018シーズンは5-3-1-1という極めて守備的なサッカーに徹して3位に入ることができた。その代わり、2017年に見せたような2列目の選手が飛び出してゴールを奪うようなサッカーは消えてしまう。監督それぞれが作り上げるサッカーで毎年違う色を見せる。それでも、このサッカーを貫いてきたから今があるともいえる。
3-4-2-1とまるで合わせ鏡のシステムで始まったゲームだったが、組み立て方は違うもので、柏は再三再四横浜の3バックの裏のサイドを狙ってくる。柏・クリスティアーノにボールを落とせば、柏・瀬川が飛び出し、柏・菊池も縦に縦に狙い続ける。横浜はここを北爪、川アの体を張った守備でしのぎ続ける展開。ただ、こうした柏の攻撃は素直すぎて、時間が経つにつれて怖さは消えていった。
柏の右サイドの小池龍太も前半は中山とのマッチアップでは思ったような色を出せず、ここまでは横浜のタヴァレス監督の望んでいた展開かどうかはいざ知らず、相手の良さを消すというサッカーは非常に機能していた。



逆に横浜はサイドを広くつかうことよりも、3バックの間を裏に抜けていけるかを考えていたように思う。パス交換から、戸島が抜けて右足でシュートを放ったシーンが印象的で、彼はボールをキープさせるのではなく点で合わせる役目の方が断然輝く。ただ、如何せんボールを奪う位置が低く、横浜は中々攻撃を継続できないでいたのが前半だった。



後半先に動いたのは横浜で、斉藤と渡邊を投入。北爪を下げたことでここが柏の突破口になる。横浜としては4バックに組み替えて、右サイドをセンターバックとボランチに守らせたことで、今度はカットインの対応で後手を踏み始めてしまう。相手の良さを消すだけではサッカーは勝てない。リスクをかけながら前線に力を入れていくという方針は理解できるが、むしろ北爪の方がそういう意味ではリスクがある反面鋭いカウンターという飛び道具を持っている。守りの選手をいれてしまうと、守るというメッセージに伝わるが、より相手の良さを徹底的に消す方針に針を進めた。しかし後半横浜がほぼ一方的に守勢になった遠因はここにある。

もう一つは、柏が前半ほど直線的にサイドからサイドという攻撃をせず縦パスをいれるようになったことでゲームが難しくなった。前半から柏の攻撃は直線的だったが、後半になって縦パスとアクセントが絡むにようになって横浜としてはボールの奪いどころが定まらなくなって、振り回されて守備の時間が増えていった。



それでも、横浜はここは耐える時間とばかりにじっくりと動かず。当初は右サイドの小池がどんどん前に出るようになり、両サイドを握られたが、中山がここを懸命に耐えることで小池の怖さは感じなくなった。

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posted by おかき at 18:02| Comment(3) | 横浜FC2019観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする