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2019年06月24日

2019年J2第19節 水戸ホーリーホック-横浜FC「人能く道を弘む」

22日ザーザーと降り続く雨の中、水戸駅に降り立つと最初に向かったのは弘道館。江戸時代、日本で最大級の藩校である。徳川斉昭によって作られた藩校をゆっくりと巡りながら試合に向けて思いを馳せる。強化指定選手となり選手登録された松尾はベンチに入るのだろうか、4-3-3で失敗したシステムを下平監督はどう修正してくるのだろうか。そう、弘道館の「弘道」ってどんな意味なのだろうか、正庁の中にあった。「子曰く、人能く道を弘む。道、人を弘むに非ず。」なるほど。サッカーで言えば、戦術が選手を上手くするのではなく、選手が戦術をより熟成させていくのだと。自分はそう読んだ。道を何に例えるかによって、用い方は様々変わると思うのだが、この言葉を噛みしめながら横浜の戦いを見守っていた。

前節からシステムを変更して横浜は4-4-2でゲームに向かうと、前節より遙かにゲームとして成立している。ロングボールを収めるイバがいて、草野が左右に衛星の様に動きまわる。左サイドの中山は攻守にハードワークしている。ただし、守備は相変わらず杜撰で整理されていない。ボールを動かすことばかりが前面に出ていて、ショートカウンターに対して中盤の守備は無力だった。それでも水戸の決定力のなさに救われていた。横浜としては高い位置からのプレッシャーに低い位置で引っかかる事は少ないが、いざ奪われた後の守備の整理がなされていなかった。



そういう中で生まれたのが前半32分の草野のJリーグ初ゴール。中里の蹴ったコーナーキックを草野がニアで身体をひねりながら頭で合わせると、フワッと浮き上がったボールは絶妙なカーブを描きゴールに吸い込まれていった。水戸GK松井も飛んで手を伸ばすが、その上から急角度で落ちてくるボールには対処できなかった。



このゴールで勢いが出たと思ったがJ1昇格プレーオフ圏内にいる水戸はしぶとい。前半38分すぐに追いつく。横浜と同じくコーナーキックのシチュエーションから。伊野波がマークについていた細川に上手くイバを盾に使われてしまい、スペースを許してフリーでヘディングを入れられてしまった。

さらに悲劇が横浜を襲う。前半44分右サイドから伊野波がボールを預けるつもりで中央にパスを送ったが、これを途中でカットされ慌てて後ろからタックルをした松井がこの日2枚目のイエローカードで退場となる。状況を何度見返しても、伊野波のプレーはボランチに預けて、その先の左のボランチの中里や反対のサイドバックに渡すイメージを絶対持っている。中里もそれを予測してバックステップを踏んでパスを受ける予備動作をしている。松井の立場からするとそこにボールが出てくるイメージをしてなかったようで、途中で足を緩め相手より一歩遅れて追いかけてタックルに入ってしまっている。奪われると一気にチャンスを作られるのでそれを止めに行くのは仕方ないのだが、守備の一連の動きが出来ていない選手をボランチに据える事に自分は抵抗がある。伊野波がボールを持った時どの選択肢があって、どれを選ぶと考えていたのだろうか。キャラやキーパーに戻すのであれば、結局ボランチが次に受けに落ちてこないといけない。縦に蹴るとしても、相手に跳ね返された時に自分の後ろの広大なスペースを使われる可能性があるのだから少し下がってポジションをとる必要がある。徳島戦でもそうだった。対人戦術はともかく、スペースを埋める動きに乏しいのだが、彼をこのポジションでいつまで使うのか。誰もハッピーにならない戦いの中で、どう監督は勝ち点という現実と折り合いをつけていくのだろうか。



松井が退場となり、10人となった横浜。4-4-2から4-3-3としたシステムも、さらに4-4-1と変更してカウンターからの一発を狙う現実的な戦いにシフト。失点しないゲームの優先順位が高くなるのは指揮官としては当然だ。齋藤を下げて佐藤謙介を入れる。中盤にぽっかり空いた穴を埋めつつ、多彩なパスで相手の急所を衝く。皮肉なのは、数的不利の状態の方がボールが回るという状態だった。2枚の守備のラインが整備されて、中盤の穴を埋めた結果水戸にチャンスらしいチャンスを許さなかった。
数的不利の分、横浜が使えるスペースが広くなるという利点もあり、中山、草野と俊足の二人が水戸の守備陣にプレッシャーをかけていたのが印象的だった。
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posted by おかき at 21:27| Comment(2) | 横浜FC2019観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月17日

2019年J2第18節 横浜FC-徳島ヴォルティス「前を向こうか」

惨敗した試合の週明けはどうも気が重い。負けたからというだけでなく、今年横浜から移籍した野村に決められたというのもある。それ以上に、自分はゲームが全く作れなかったことが残念だった。負けたゲームなので、どうしても色々マイナスだったり、ネガティブに面が先に出てくるのだが、それは結果として、どうしてゲームが全く作れなかったのか、それだけで日曜日が過ぎていった。

一言で言えば、中盤の3人のMFがチームとして機能しなかったのが大きい。4-3-3というよりも、サイドの選手の位置を見ているとほぼ4-5-1のシステムであるのだが、3ボランチの特に両サイドの選手がここまで攻撃に絡まないのではゲームにならない。下平監督が就任した直後の鹿児島戦でも4-4-2ではあるが、攻撃時には中里を高い位置に置いて4-1-3-2の様な形でゲームを作ろうとしていた。そこで既にこの4-3-3的な布陣への意欲は感じ取っていた。(中里の方が攻撃に参加するというのは、これまでの横浜では中々珍しい状態ではあったが)
中里も松井も齋藤もプレーの方向性は実は近い。ボールを受けて捌いて、動いて捌く。こうしたモビリティに溢れ、高い技術で軽妙なパス交換でポゼッションを高めながら、相手を食いつかせて、ディフェンスラインの裏を狙いたいのだろうとみていた。これが下平監督のやりたいサッカーなのだろう。どっしりと中盤の底からかじ取りをして縦パスを入れていく佐藤が重用されないのは理解が出来る。



ただし、その一番の鍵になる縦へのボールはまるで出てこなかった。齋藤に関してはダイレクトでパスを捌いているとは聞こえが良いが、実際はほとんどがバックパス。英語で、バックパサー(buckpasser)とは、責任逃れをする人の意。まさしくバックパサーになっていた。もちろん、監督の戦術へ順応する為の手探りだったり、徳島との積み上げの差から来る意思統一の差や連携の差があるとしても、トライしたシーンはほとんどなかった。

そうなっていたのも、先制点を許したことが大きい。前半4分、左サイドを突破されてクロスを許し、飛び込んできた徳島・野村にフリーでシュートを許して失点。左サイドの突破よりも、このエリアを誰もケアしていない。先制点を許したことでゲームプランは変更を余儀なくされてしまった。徳島が後ろに下がって出てこない。FW2人でプレスには来るが、インサイドハーフの2人がボールを受ける位置はいつも2列目より後ろの選手が待ち構えている状況。



本来ならもう少し前線にスペースがあって、それを使えるイメージがあったのかも知れない。ただ、そこから選手自身でそういうのを打ち破る事が出来ないのが今の横浜だった。
足元ばかりでボールを受けて、常に相手チームに選手がブロックを作るところで戦っていた。裏に出すボールも少なく、2列目の飛び出しもない。この状況でゲームが好転する事はなかった。



雨中の観戦で前半はフラストレーションが貯まる一方だった。雨も強くてこちらも前を向けない。後半になって、徳島は前半よりサイドの守備をやや下げて対応を始めた事で、横浜は前半より低い位置からボールを持って前を向けるようになった。ただ、それでも前半と同じで、中盤の選手が攻撃に絡まないので徳島は何も怖くなかった。

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posted by おかき at 18:36| Comment(0) | 横浜FC2019観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月03日

2019年J2第16節 横浜FC-FC琉球「交代」

草野の登場はまるで自分たちで流れを失いかけたようだった。彼の登場により、横浜はシステムを4-3-3から4-4-2に変更した時に守備でやや戸惑いが見られた。中山を右から左に。齋藤をインサイドハーフから右のMFに置いた時にどう追い込むのか怪しくなり、その間隙からボールを繋がれて琉球・鈴木に豪快なゴールを許してしまった。監督は交代をして、流れを良くし、自分たちのリズムを作り、ゴールを目論む3枚の手札であるが、その目論見が必ずしも当たるとは限らない。後半縦パスを通されることが増えたのを見て、2ボランチにして中盤を整理させようとした矢先の失点だった。

失点してから攻勢に出る横浜だったが、琉球GK・カルバハルの前にイバのシュートも、北爪のミドルシュートもゴールネットを揺らすことができないでいた。ところが、琉球は思いもよらぬアクシデントで交代カードを使わなくてはいけなくなった。その鉄壁の守護神カルバハルがハイボールでイバと競って着地した際に左足首を痛め負傷交代となった。その状況を見越してなのかはいざ知らず、治療の間に齋藤に代えてレアンドロ・ドミンゲスを横浜は入れた。カルバハルはアウトとなり、GKは石井が交代で入る。



この交代が明暗を分けた。右サイドで守備が難しくなっていた齋藤のところに快足の草野を当てて、前線はイバとレアンドロ・ドミンゲスの2トップ。この選手交代の直後横浜は追いつく。投入されたばかりのレアンドロ・ドミンゲスのミドルシュートをGK石井が弾き、こぼれ球をイバが押し込んだ。後半33分に追いつくと、勢いは完全に横浜に。袴田のクロスを草野が折り返すと後半36分再びイバがヘディングでゴールをネットを揺らして逆転。ゲームをたった3分間の2ゴールでひっくり返した。



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posted by おかき at 04:02| Comment(0) | 横浜FC2019観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする