実はこの翌日にこの映画も見てきた。
長渕剛の「CLOSE YOUR EYES〜」で始まるCMでおなじみのあの映画。
感想からすると「非常に静かな映画」だった。
CMから想像するともっと血みどろみたいなものになるかと
思っていたのだが、そうではなかった。
「戦争はダメ」という事を前面に押し出す感じもなかった。
半分は戦争青春群像であり、もう半分は回想録。
全部を戦争青春群像にしてしまえば、ただの過去の美化にしかならず、
全部回想録としてまとめるとドキュメンタリーにしかならない。
淡々とまっすぐに事実と回想を積み重ねていく事で、重みが増していく。
変にドラマを作る事なく、撃たれた人は死に、生き残った兵士は
血を流し、傷ついています。それが戦争だと実感させられます。
戦闘には、派手なBGMも派手なアクションも必要ない。
最初見終わって多くの役者の人間関係や精神面の描写が少ないと感じたものですが、
それを表現しない事も戦争の一端なんだと思った。
つまり一兵卒は、ひいては人間は実はこんなにあっさり死んでしまうんだと。
戦争というのは個々人の持つアイデンティティ等、銃撃一つで
木っ端微塵にしてしまうんだぞと。そういう儚さに余計な感傷はいらないな。
だからなのか、戦闘のシーンでは涙は一切出なかった。
そういう感傷に浸る時間もなく、自分が生き残るので精一杯だった。
一番受け付けなかったのは大和の艦橋や甲板がやけに新しく映った事。
美しいというよりのっぺりした感じ。美しさという割に、その壮大な
絵が見られなかったのはかなり惜しい。
太平洋戦争末期に出来たその時代遅れでありながらも、国家の威信をかけた
建造物としての威厳を見たかったのだけど、それもなし。
一兵卒としたら大和を俯瞰する事等ない訳でそういうドキュメンタリー
タッチな作品に仕上がっていた。
1945年4月7日大和は撃沈した。年表を読めば一言だろう。しかし、
それを1ページに凝縮した際に、過去の背景までその場で必要なのだろうか。
そういう事を考えると監督のさじ加減は良いが、映画としては
もう少し色を付けてもと思ったりもするが、ここは好みの分かれるところだろう。
一番泣けたのは、常田を養子に出した母親が最後の別れで強く息子を
抱きしめるシーン。息子は最後に敬礼をして港に向かいますが、それを
母親は追いかけて強く強く抱きしめます。
それは軍人もその家族も戦時でも人間なんだと強く印象付けられるシーンで、
それまでの淡々と戦闘や歴史を描くシーンとは対照的に、
「血の通った」シーンでこの映画で一番映画と呼べる映像美のあるシーンです。
全体的に神尾や常田の別れのシーンにしても、自分がトリニダード・トバゴに
行った時の気持ちがかなりダブりました。死まで覚悟した訳ではありません。
でも、ポルトガルとは遥かに危険度は違います。テロが頻繁に起こる
このご時世で、T&Tのイスラム組織もどう動くのか全く予想もつきません。
その中でたった一人の旅立ちに、神尾らが大和へ搭乗する姿がダブって
ダブって仕方ありませんでした。張り詰めていた気持ちを理解する事は
できましたが、もっと厳しい事だったのだろうと思うと、涙がいつまでも
止まりませんでした。
一番静かだったけど、一番大切なシーンは。
戦争がありました、大和は凄かった、戦争はダメですよ、で止まらず、
「私の昭和は今終わった。」
ときっちり次の世代に話が引き継がれていた事。
この場面が大切で、15歳の子が最後は舵を握る。
それは大和や戦争という過去の教訓を、次の世代に託したいという、
監督や先人たちの気持ちが、垣間見えるシーンでもあったと思います。




此の映画を見事に評されているなぁと思いながら拝読させて頂きました.本当にバランスの取れた粛々とストーリーが展開して行く,故にストレートに観る方に
想いが伝わるのかなと.そんな映画に思えました.
神尾老人の「私の昭和は今終わった」は本当に何かがストンと落ちる様な,合点の行く,爽快感を感じました.カタストロフィックであり,其れでいて物語の鍵を担う大事なSceneだと感じました.
初めまして。
コメント、TBありがとうございます。
監督のさじ加減が分かるという映画でしたね。
静かな物語で、最後の神尾の言葉で、門の閂を外して新しい時代の扉が
開かれたとでもいいますか、そういう気持ちになりました。
そうですね。爽快感ありましたね。スッと胸のすく思いとはこういうシーンでしょうか。
あのシーンで、若い人にもエールを送っている事がわかりましたね。