用事で金曜の夜に一人で川崎に。家に帰っても良かったが、暇だったので
「ホテル・ルワンダ」を鑑賞。レイトショーで安かったし、
これが本当にここでの最後の上映。間に合った。
文字通り満員のチネチッタで、最後の幕が上がった。
終幕後、近くにいたカップルの男性が女性に向かって開口一番、
「あー、楽しかったね。」
この映画のどこが楽しいと言えるのか。その後の二言目は聞かずにその場を
僕は立ち去った。どんなに次に良い言葉を述べようとも、最初の言葉を
取り繕う言葉にしか聞こえないからだ。
映画の中で、ポールは虐殺の映像が世界に流れれば救いの手がやってくると
最初思っていたのだが、カメラマンのダグリッシュの一言で衝撃を受ける。
「世界の人々はあの映像を見て、"怖いね"というだけでディナーを続ける」と。
「楽しい」という観客の発言はこの「怖いね」とほぼ同義に聞こえた。
遠くにある事に無関心を装った為に、悲劇を大きくさせた当時の西側諸国の政策と
同じく、この映画を見た直後でも無関心を装ったのだと。
男性は語彙が非常に少ないという一般的な話を抜きにしても、「楽しい」という
感想はどこから出てくるのか。自分の頭で考えていないからそういう
陳腐な答えしか出てこないのだろう。
この映画は主人公が高級ホテルの副支配人(後に支配人)であり、お金があるから
上手く行っているという側面はあるにせよ、賄賂にすべきお金と酒が尽きた時に
何ができるのかが、醍醐味であった。
「face」これだろう。向き合う。直面する。なぜなら、賄賂とは一時の逃げ道で
しかなく、解決にはならないからだ。物語でも、緊迫した場面で賄賂が出回る。
状況からして仕方ない事だと思う。
ただ、それは根本的な解決ではなく、猶予をもらっただけに過ぎない。民兵や将軍に
金品や酒を振舞って、ホテルへの侵入とツチ族の引渡しをやんわりと拒み続けた。
また、ハッタリと嘘で政府軍の侵攻への動きを鈍化させる事にも成功した。
もちろんそれだけではない。海外資本である、ポールのホテル「ミル・コリン」は
外貨獲得の重要な場所でもあり、そうした経路に手を回し政府軍の侵攻を食い止め、
難民と化したルワンダ国民をかくまった。
ただ、最後はその賄賂も尽きてしまうが、将軍に脅されホテルに戻れなくなった時、
彼は賄賂も何もなくなっても、逃げなかった。
「撃てるものなら、撃ってみろ」と。
大切なのは、賄賂を出してでも逃げる事ではなく、逃げない事。
直面した危機に目を逸らさず立ち向かう事。それなのだ。
なぜポールは死の恐怖に怯えながらも、向き合えたのか。
多くの難民が彼を希望の光だと願いを託す姿と、家族がどこまでもひたむきに
支え続ける愛があったからだ。
愛というものの強さと困難に直面しても逃げずに向き合う勇気。
この映画を見て、アフリカやルワンダに行けという次元の話ではない。
自分で何ができるかなのだ。世界の各地で直面している問題に対して
少しでも向き合えるのか、問題を問題として捉えられるのか。
ポールはいつまでも逃げてきた。最初は家族の為だけに戦ったが、少しずつ
変化が生まれ、川岸で死体の山を見た時は泣きながらも覚悟は決めたのだ。
将軍と向き合った時の"face"顔は凛々しく誇りに溢れるものだった。
この映画を見ている2時間と少しの間にも、世界中では沢山の人間が
無意味な戦争や殺戮で命を落としている。それは一般人も下っ端の兵士も。
その現実に向き合わないで、結果的に無関心な事がその悲劇を増大させているのだ。
「愛の正反対は憎しみではなく"無関心"である」というマザー・テレサの言葉は
今でも胸に強く残る。
第三世界と呼ばれる南半球の貧しい国はいつも、日本を含めた欧米諸国の
食い物にされている。なぜなら、都合の良い時は利用されて、都合の悪いときは
その情報は無視されるか、無関心を装い流されてしまうからだ。
ディナーの話があったが、それも無関心を装って自分の心の弱さを隠しているだけだ。
僕はそういう事が嫌いだ。もちろん自分のできる事に限りはある。
でも限りがあるという事は、「何か出来る事もある。」そういう事だ。
あの地震以来、毎年スリランカへの救援物資を送っている。
NPOに依頼して使わない衣類や毛布等も送っている。今年はもうダンボール2つ。
一人暮らしだからそんなにたくさんではないけど、
「最低限自分のできる事をする」のが大切だと思っているから。
それを自己満足と非難するのは勝手だが、何もやってない奴に言われたくない。
それは非難ではなくただのやっかみだから。
エンディングの曲「Million Voices」でこんな小節がある。
"Lord, did you hear us calling? Can you do something in Rwanda?"
(主よ、私達の叫びが聞こえますか?ルワンダを救えないですか?)
僕達は主ではない、だからこそ自分達の手で「祈りではなく行動」で
できる事をしたいと思っている。それが"face"なのだ。
この映画で涙が頬を伝う事はなかった。しかし、アフリカの灼熱の乾いた大地に
染み渡るが如く、小さな一滴は心の中に零れた。
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2006年03月11日
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無関心とか、無視、真っすぐに見ない事、知らないと言う事柄が、罪だと、この映画は教えてくれたと思います。社会派の映画が日本では余り、流行らないとすれば、日本人が平和過ぎる中で生きているからでしょうが、平和なら平和とは遠い国を思いやる事も必要でしょう。私も衣料を送ったりします。何か、少しでも協力出来るならと思います。。。。
コメント&TBありがとうございます。
そうですね、平和=無関心ではなく、
その平和というノウハウといいますか、
プロセスを共有できるかが、
本当の平和を名乗れるかどうかの鍵だと思います。
日本は平和ボケでも何でもなく、
国民国際問題総ニート(笑)とも言えるかも。
そのカップルの男性はきっと語彙が足りないんですよ。
思ったことはあったんだろうけど、「楽しかった」しか出てこなかったのでは・・・と好意的に解釈してみました。
まあこの映画によって確実に未来は少し変わったと思います。
一人一人の力は小さくても、塵も積もれば・・・ですね。
コメント&TBありがとうございます。
未来を変えるきっかけはいくつもありますが、
変わったという確信は自分はもてないですね。
昨今の状況を見ていると。
どちらかというと悲観的な人間なんで(笑)