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2010年05月23日

2010年J2第14節 横浜FC-サガン鳥栖 「これで満足できたか」

試合終了の笛が鳴り、地面に倒れこむ選手達、ハイタッチをする選手達。4-0の大勝。大黒のハットトリック、守備陣は久しぶりの完封。こぼれる笑顔。約1月ぶりの勝利の味。誰だって喜びたくもなる。ただ、人間の記憶とは不思議なもので、その直前の45分を思い出すと全く笑いがこみ上げてくるものではなかった。

前半7分。新加入のホベルトからのスルーパスを受けた武岡のシュートはポストに弾かれたが、詰めていた高地が無人のゴールにボールを叩き込んで横浜が先制。先制点に絡んだのが、ホベルト、武岡、高地と昨年鳥栖に所属していた選手達。彼らの中できっとどこかモヤモヤしていたであろう、鳥栖での思い出と別れを選んだ自分の正しさとの葛藤にもケリがついた。
横浜の岸野監督が采配を執っていた鳥栖との対戦という事で外野は「因縁」とわかりやすいネーミングで試合を煽っていた割に、ゲームは圧倒的な横浜ペースで進行し、ゲーム同様全くの肩透かしを食らった。



そして、大黒のハットトリック。特にチームの3点目となるゴールは大黒の真骨頂。左の高地からのクロスに、DFラインギリギリで裏に飛び出し、落ちてくるボールに右足のアウトサイドでわずかに触れてゴール右隅に流し込んだ。鳥栖との因縁に関係ない彼が試合前の囁きを全て打ち消していく。

鳥栖は前半15分までに立て続けに3失点し出鼻をくじかれて残りの時間も心ここにあらずだった。気持ちが切れてしまうと、チーム全体で前への推進力を失ってしまいがちで、効果的なシュートは無かった。それでもこれだけの大差がありながら、甲府戦をどこかで意識している自分がいる。



これらの思いが入った分、前半と比べて後半の横浜の動きは非常に緩慢に映った。相手が退場者を出して数的優位が生まれても、攻めるのを悪いと思うのか、躊躇いが生まれ、それが選手間で差が出来てくるとパスミス、トラップミス、判断のミスが増えていった。

後半やや歯切れの悪い45分が終了。試合には勝利した。だが、点差とは裏腹に何か自分の中ではイマイチ納得できない部分も多かった。事故の様に点は取れたが、後半は自分達で集中力を切らしていた。

勝ったからいいじゃないかという意見や考え方もある。しかし私はそう考えない。得点を奪えるチャンスがあったのなら徹底的に奪いつくす。相手が息を切らそうが、腰に手を置こうが、怒りに震えようが、絶望しようが、呆然と立ち尽くそうがゴールネットを何度も何度も揺らす。絶対に勝てないと相手の身体に染み込ませる。それが理想である。

当然岸野監督の理想はそうではなかったのかも知れない。後半の中盤以降はやや守備的で、コントロール出来る選手を起用した意図も理解は出来る。ただ、普段彼が発信している言葉と齟齬があったのは事実。だから、何で相手が9人なのに攻めに行かないのか?という疑問符がついてしまう。後ろの選手はややペースを落として時間をかけたいという意図があるが、前線の選手はスペースがあるから皆上がってボールを欲しがる。
今後こうしたズレが怖い。選手采配の意図をその選手以外でも共有し、全員で同じ方向を向けるチームを目指す事が重要になるはずだ。



プロサッカーチームは何を言っても勝利して、何かを振り切らなければならない。それは試合前まで各所で囁かれ続けた因縁なのか、はたまた大逆転で沈んだ甲府戦以降の連敗なのか、W杯代表選手に残れなかった悔恨の思いなのか。それが前半の点差程度で満足してしまうなら、その程度の選手の集まりでしかない。

私がこの場に立つ選手だったら笑顔は見せられない。少なくとも後半は何点も取らなければならなかった。後半は9人の相手に無得点。それでもこの試合は満足出来たと言えるのか。完封こそしたが、守備陣は細かいミスを残し続けている。田中のボロボロのドリブルと守備、不要だった渡邉のイエローカード、ビルドアップできない戸川。大勝したからこそ結果より内容がクローズアップされてしまった。



もっと出来る、もっとやれる、もっと戦える。そう思っているからこそ、この試合程度では私は全く満足しない。岸野監督の言葉を借りるなら「1回勝ったぐらいでは喜べない」。だから自問自答して欲しい。「これで満足できたのか?」と。
posted by おかき at 14:16| Comment(0) | TrackBack(1) | 横浜FC2010観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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