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2010年09月20日

2010年J2第26節 横浜FC-アビスパ福岡 「アビハチ取らず」

この試合の前日に行われた東京V-栃木はスコアレスドローに終わり、両者が勝ち点1を伸ばした。同じ勝ち点33で8位だった横浜は順位を下げないためには勝つしかない。その対戦相手は3位になった福岡。千葉との直接対決を制して意気揚々と乗り込んでくる。この福岡戦は勝ち点を縮める大きなチャンス。千葉の試合結果によっては、昇格までの勝ち点差を10から7に出来る。残り13試合近くになったJ2。逆転に3試合なのか4試合なのかでは大きく違う。上位のチームが10試合で4敗する可能性など殆どない。それでいて横浜は全勝が前提なのだから、この口で言うほど簡単なものではない。勝って8位を奪回しつつ、上位との勝ち点差を着実に縮める。下位にいるチームはそうやってプレッシャーを掛け続けるしかない。



ところが、このゲームの重みを知って緊張したのか、知らずに緩んだのか横浜は試合開始からプレーが雑だった。前節ではすぐ上の順位にいた東京ヴェルディとの熱闘を制し、やっと昇格への関門を開こうとしたばかりなのに、何を彼らは舞い上がったのかミスに次ぐミスで相手にボールを渡し、主導権を握られる。

その転機がやってきたはずだった。前半27分。苦しい時間帯を耐え続けて手に入れた先制点。ピリッとしていなかった高地がピリッとした。スローインからボールを受けると、三度キックフェイントを入れて福岡DFの体勢を崩して放ったミドルシュートは豪快に枠を捉えた。上位の福岡相手から奪った先制点。これで一気に畳み掛けるはずが、これでもチームのバランスは向上せず。



逆に前に行きたい攻撃陣と、一旦落ち着かせたい守備陣でボールが回らない。岸野監督が柳沢に指示をして力ずくで高めのポジションを取らせてボールを動かすのが精一杯。
逆に高くとって一度はボールが動くが、そこから包まれて逆襲されて上がったスペースを衝かれてピンチを迎える。だから、守備陣も動きにくくなる。しかし、本来ならそれでも上がらなければならなかった。岸野監督が試合後言う様に福岡は「受けると前に出てくる」チーム。横浜はそもそも下位のチーム。失うものなど何もなかったはず。高地の得点は、良くも悪くも昇格争いに足を踏み入れた事を選手が認識してしまった。

そして、三ツ沢には大久保の呪いが未だに残る。横浜を戦力外になり、佐川を経由して福岡に移籍したジャンボ。彼は本当に三ツ沢で得点を取る。まるで今でも戦力外の恨みを叩きつけるかの様に、横浜のゴールネットを揺らす。その呪いはこの試合でも消える事はなかった。
前半40分左CKを柳沢がクリアしたが弱く、それを拾った大久保が右足一閃。ゴールネットを揺らして福岡が同点に。



後半は横浜が何も出来ずに崩壊していく様を見届けるしかなかった。後半福岡は田中佑が入り勢いを増したのとは対照的に、横浜は前線で基点になれなかった難波に代わってエデルを投入するもこれが完全に裏目。難波とカイオのコンビ以上に、ボールを持ちたがる2人がそれぞれでゲームをコントロールしようとして攻撃は完全に破綻し、得点の匂いは全く消えうせた。

福岡はCKから田中誠が逆転弾を上げて横浜を突き放す。だが、高地を前半の負傷の影響で下げていた横浜には、追撃の為の駒がやや脆弱。武岡と西田から、西田を起用したがこれもハズレ。チームとして追撃、反撃するには選手の層、幅が福岡と比べて見劣りする。



終盤には福岡の永里に3点目を決められて横浜はまさしく今シーズンの昇格争いもほぼ終戦。残り12試合で勝ち点13差では昇格どころか、一桁順位争いが現実的な目標だ。福岡に勝って勝ち点差を縮め、そして8位死守の二つの目標も果たせなかった。まさしくアビハチ取らずである。

そして、今の福岡のスタイルは非常に横浜のあり方と正反対だ。福岡といえば数年前までは大量補強、大量解雇というのが伝統というか、名物だった。しかしここ数年は大量解雇を止めてじっくりと戦力を整え、それを時間をかけて成長させている。それが実り、昇格圏内にいる。

横浜はどうか、「昇格、昇格」と騒ぐだけで戦力もその場その場だけの補強。もちろん選手の力も一定レベル必要だが、あまりにもいろんな事を性急に行いすぎている。もちろんチームは昇格を目指すべきではあるし、試合結果というのは1+1が2ではない場合の方が多いが、短期間だけで作り上げた砂上の楼閣は昇格もその先の育成も両立出来ないまま崩れる。



2006年から2007年にかけて何があったのか小野寺社長は覚えていないのだろうか。「昇格目指そう」で、ポンと補強にお金を出すだけではチームは強くならない。自分達の理念やサッカーに共感する人を集めて、それを力に変えて、チームに様々な面から支えてもらう努力をしなければ、昇格など一時の勢いで出来ても再来年また元いた場所に戻ってくる事になる。J1に昇格し、定着できるチームを作るには、それ相応の時間がかかる。この敗戦は、今の短期で昇格と育成の両方を追いかけるやり方を否定するもので、これこそ本当の虻蜂取らずを身に染みて感じた試合になってしまった。
posted by おかき at 01:40| Comment(2) | TrackBack(0) | 横浜FC2010観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大切な試合で
・集中力不足か団結力不足
・選手交代が裏目
のように思えました。

選手起用で言うならば、
・GK 繰り返すミスキック(タクオ復活してくれ)
・サイドバック 同じミスの繰り返し(トモキチ出てくれ、来期が心配だ)

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選手の集中力と同様に、観ていた私の集中力も試合中に切れてしまい帰宅しました。
試合中に帰ったのは、7年目で初めてです。
良い試合を期待しすぎていたので、その反動です。

逆に昨日負けたことで、次回以降の試合は冷静に観戦できるような気がします。


Posted by こうおや at 2010年09月20日 10:02
昨日はあまりにも残念な試合でした。
今シーズンで言えば、福岡とはくぐってきた修羅場が違った気がします。

勢いだけで駆け抜けたチームならそれをやり通す事が必要でしたが、チームとして一つになれてませんでした。

まだ数字上の可能性がなくなった訳ではないので、完全終戦ではないですが、ここで諦めるのかまだ前を向くのか見てみたいですね。
Posted by おかき at 2010年09月20日 10:44
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