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2010年10月04日

2010年J2第29節 横浜FC-ヴァンフォーレ甲府 「口を真一文字に結んで」

12-2。完敗である。シュートはほぼ一方的に打ち込まれ、横浜にチャンスらしいチャンスは殆ど無かった。唯一後半25分に寺田がシュートを放った時に、一瞬「おお」とスタンドが沸いた程度だった。

横浜が押し込まれていたのは、甲府の3トップのパウリーニョ、ハーフナー、マラニョンと藤田の連動性が素晴らしかったからだ。前線で落としたボールを藤田がサイドに捌き、両サイドのマラニョン、パウリーニョがゴリゴリとプレッシャーをかけてアタックしてくる。横浜にとって難しい試合展開は想定できる範囲ではあったが、前半から甲府が前を向いてプレーする度に変な緊張感が背中を通り抜ける。



ただその緊張感が杞憂に終わった理由は、横浜の渡邉の踏ん張り。彼が中央で張るハーフナーを前に向かせず、粘り強く対応したからこそだ。そのお陰で甲府は中央でボールを持つことが出来ず、サイドからの圧力もやや弱くなった。
もう一つは、徹底した藤田へのマーク。ゲームがなぜか違う方向で熱を持ってしまった原因の一つでもあるのが、この横浜の厳しいプレッシャーだった。パスの供給源を抑えにかかった横浜は藤田を自由にさせなかった。



横浜は序盤からボールキープに苦労する。前線でカイオにボールが収まらない。全体の押し上げも難しく、カイオが潰されてボールを奪われて守備に追われる時間が続いた。エデルもドリブルで深くまで侵入は出来るがPA近くになると甲府ダニエルにその軽いドリブルを窘められるかの様な守備でチャンスを作れない。

総じて甲府の時間帯が長く、横浜は耐える時間帯が続いた前半だった。言葉を発すると何かが零れてしまうのではないか。そんな気持ちだった。「能あるものは、そっと黙っていよ。そっとしておいてもおのずから現れてくる」というゲーテの言葉を噛み締めながら後半を待つ。
後半ゲームの流れが変わり始めたのは横浜が高地を投入してからである。ボールキープに優れる左足の魔法使いは、甲府のサイドにプレッシャーをかける事で、3トップと後ろとの距離を遠ざけた。これによって横浜は活路を見出せるようになった。
続けて投入される寺田。ドリブルで後ろから倒されてもファウルをもらえないと見るや、CK付近に転がったボールを甲府の選手と競り合うがこれを後ろから倒す様に強奪し、中央にクロスを入れた。これは合わなかったが4-3-3のサイドにポイントを作る事で横浜はチャンスを迎えつつあった。



この甲府の4-3-3はこの試合、保坂、秋本の2ボランチで藤田が中央で攻撃陣3枚と絡む形。攻略の為には、ボランチをサイドに引きずり出して中央を空けたかった。その為には横浜はサイドバックがMFを追い越して攻撃を厚くしたいが、3トップをフリーにさせる事は危険で攻撃参加はどうしても慎重になる。その為サイドで高地、寺田が追いやられた時に中央を使えず個人能力だけで突破を図らざるを得なかった。この辺りの駆け引きは十分に見ごたえがあった。

横浜は選手交代で流れを掴み取ろうとしていた。だが、最後の部分まで持ち込めない。甲府の堅い守りを崩す事が出来ない。逆に両チームともに運動量が落ちてくると、カウンターが有効になりハーフナーが構える甲府も度々横浜ゴールを脅かした。

しかし、このまま試合は両チーム無得点のまま試合終了。横浜は勝利する事が出来ず、またしても昇格の可能性は小さくなった。勝利したのは福岡に勝った熊本だけで、この日上位陣は揃って足踏み。だからこそ勝利して福岡との差を縮める必要があった。内容から結果を見れば御の字でも、それを言える立場にはない。汚い言い方をすれば、何人退場になってもPKでの1点を全員PAに入れてでも勝ち抜かなければならないのが今の我々の状況である。

岸野監督は「我々は勝点3を取らないといけない、取ることが出来た。」と記者会見で述べたが、指揮官なら当然の言葉。これはシュート2本でどう勝つのか?の答えではなく、勝ち点1では満足はしてませんよという強い意志である。可能性は限りなく小さいがこの状況で、監督が公の場において「内容が悪いので勝ち点1で仕方ない」と述べれば選手も緩む。



とは言え、3位福岡が負けた日に勝利できなかった横浜は窮地に追い込まれているのは明らかだ。次のリーグ戦の相手は鳥栖。今年鳥栖から何人も選手を移籍させた横浜。大きな禍根を残しての補強劇。その鳥栖に乗り込む事になる。この試合負けた方がほぼ終戦という決戦。またこの日の様に口を真一文字にして耐える試合が続くのか。あるいはドヤ顔でガッツポーズをしているのか。めまぐるしく変わる順位などどうでも良い。目の前の試合に勝つしかない。
posted by おかき at 04:06| Comment(0) | TrackBack(1) | 横浜FC2010観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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「ヴァンフォーレ甲府vs横浜FC」観戦記 〜何とも不毛な一戦に〜
Excerpt:  この試合をまさに「象徴」してたのは、このシーンだったのではないかと個人的に思っている。  前半終了間際、甲府の攻撃を何とか凌い
Weblog: Ali della liberta (in Stadio)
Tracked: 2010-10-04 23:05