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2010年10月14日

第90回天皇杯3回戦 川崎フロンターレ-横浜FC 「鬼門」

後半36分久木野のヘディングシュートがネットを揺らして横浜に先制点が入ると、波を打ったように静まり返る等々力陸上競技場。川崎サポーターの戸惑いと同じく、横浜サポーターもどう喜びを表現してよいのかわからないと思える位声を失った。



横浜は川崎に煮え湯を飲まされ続けてきた。もう何度も大量失点の敗戦を味わってきている。直近となる2007年のJ1での試合も春にはまだ遠い3月の夜J1で生き残るのは夢のまた夢という事を実感させられた6-0。そこに追いつく前は川崎がJ1昇格を決めた等々力の試合。この試合でも4-0と横浜は完敗を喫している。
横浜が最初で最後に川崎に勝利したのは、もう8年近くも昔の話。後半超低空のクロスを有馬が身体を投げ出してヘディングで決めて2-1で勝った試合。

もっと言うと横浜は等々力陸上競技場自体との相性も良くない。1999年横浜FC創設の初年度の天皇杯でヴェルディ川崎(当時)に延長Vゴールで敗れたのも、2000年JFLを無敗で独走優勝を飾った年の天皇杯で愛知学院大に敗れたのも、この等々力陸上競技場だった。単純にフロンターレがどうというよりも10回以上戦って1回しか勝てない、天皇杯に限って言えば2戦2敗というとんでもない鬼門である。

よくよく考えてみると川崎というのは、横浜の北東に隣接する鬼門である。この鬼門を封印すべく投入されたのが久木野だった。まさに毒をもって毒を制すを地でいく采配。右の柳沢のクロスにカイオが競って川崎DFをおびき出し、その後ろでフリーでヘディングした久木野の美しいゴールが決まる。川崎からの助っ人が、等々力陸上競技場の邪気を振り払っていく。今にも雨が降りそうな雲の下、一番輝いていた。



ところが、その流れが変わるのが後半43分。自陣ペナルティエリアで倒れるホベルト、そして川崎のCK。このタイミングで横浜・岸野監督は当初13番野崎の交代を要求し、彼も一度ピッチを離れようとしたが、ホベルトがピッチの外に出るのを見て慌ててホベルトの交代を要求しようとしたが準備が出来ず、結果一人少ない状況で再開。そしてそのCKをジュニーニョに決められて同点にされてしまい、ホーム川崎が息を吹き返す事になってしまった。

この判断は正直自滅行為に近いと感じた。1点リード、残り数分、相手のCK、この緊張感を求められるところでなぜ監督は流れを切ってしまったのだろう。せめてクリアしてからで良かったはずなのだが。
また、ホベルトは走ってまたピッチに戻ろうとしていた。このシチュエーションで彼は無駄な時間稼ぎをする必要などなかった。遠くクリアした時にでもやっておけば良い。能力が高い選手だからこそ苦言を呈するが、肝心なところで目処が立たない選手は信頼出来ない。



この肝心な試合で横浜の選手は皆奮闘していた。川崎にボールを支配されるが、切り替えの早さで川崎の攻撃を凌ぎ、相手がボールを持ってもサイドで右往左往させる事に成功する。堅守速攻のチームであれば、ボールを奪ってから一気に放り込むのだが、横浜は奪ってもホベルト、野崎、カイオ、高地というボールをキープ出来る選手がポイントになって川崎守備陣を下げさせて攻撃のチャンスを伺っていた。
実際高い位置からもプレスに入り、何度か八角らがボールを奪うシーンはあった。

川崎・黒津のコンディションが全くダメで、彼は1本たりともシュートが枠を捉える事が出来ないまま、退く事になった。ジュニーニョも往年のキレはなく、ポジショニングとアクセント、細かいテクニックで勝負する選手になり、川崎はチャンスを前半から何度も迎えたが早川、渡邉の裏のスペースへの侵入を許す事はなかった。



横浜はカイオが機能しないと戦術上どうしても苦しい。前半横浜はボールを殆ど前を向いて攻撃をする事が出来なかったが、それでも甲府戦で見せたような強いファイトを持ってボールを奪い川崎に嫌がられる様になった。
前半0-0で終えたが、後半気持ちが籠っていたのは横浜だった。徐々にカイオにボールが集まり始める様になった。川崎の選手達は中2日というコンディションのせいなのか、ガクッと運動量が落ちる。横浜のカウンターが決まり始める。後半躍動していたのは明らかに横浜だった。
そして後半36分、川崎からレンタル移籍している久木野のゴールで物語が完成するはずだったシナリオは、ジュニーニョの同点ゴールで一気に崩れ去る。



試合は川崎・楠神が美しいループシュートを延長後半5分に決めて川崎が逆転勝ち。そのゴールも南西の裏鬼門から北東の鬼門に抜けるまさに鬼の通り道だった。この日も等々力は鬼門だった。どうすればこの鬼門を破れるのだろうか。まだ長い旅を経てここに戻ってきた時にそれを考えたい。
posted by おかき at 08:00| Comment(0) | TrackBack(2) | 横浜FC2010観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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