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2006年05月25日

「雪に願うこと」

認められるという事が心を再生するキーワード。
伊勢谷友介演じる矢崎学が、東京で事業を起こすも失敗し、
本人は言葉を濁すが半ば逃げるかの様に故郷に帰る所から物語は始まる。

その故郷でばんえい競馬の調教師である年の離れた兄・威夫(佐藤浩市)は
彼の帰郷を快く思っていない。それは、学が母・静子から
お金だけをもらって東京に行ったきり13年も音沙汰ないまま、
すがりつく様に戻ってきたからだ。

競馬再開中は外出できないという事もあって、学は厩務員として
過ごす事になる。しかし、一人で過ごすのではない厩舎という
小さな家族と一緒に過ごす事になる。

その中で生まれる反発、共感、信頼。
その一つ一つが東京では感じた事のないものだった。

彼の気持ちが変わり始めていた。自分を散財に追い込んだ、もう堵殺されてしまう事が決まっているウンリュウの処理の為の世話をする様になると、次第に「金だけ」で回っていた都会=東京=「見返す」という気持ちが薄らいでいく。

一頭の馬と出会って、馬が自分を認めると価値観は変わっていく。契約書という紙で繋がる東京と、気持ちで感じあう北海道。東京から逃げる様に舞い戻った彼が、感化されるのは時間の問題だった。純粋な気持ちに触れて何かを感じ始める。

牧恵の存在も彼を動かす。彼女の父親は名騎手だったが、その名声に溺れて借金を抱えて失踪。その娘は父親という騎手としての偉大な名声と臆病者としての嘲笑の声を振り払う為、自分を認めさせるのに必死だった。しかし、新人での軽ハンデがなくなると勝利を重ねる事ができず、競争社会の中で次第に自信を失っていく。それはまるで、学と同じ。

認められないのは自分だけではないと感じ始め、彼が厩舎に賄いに
来ている晴子(小泉今日子)の経営するスナックのパトロンの丹波が
言い始めた牧恵への騎乗への批判に対して
「勝てばいいだけではないでしょう」と反論した所に成長を感じる。

大きなプレッシャーに潰されそうになる中で、理解者を得て
二人の気持ちは前に進もうと動き出す。

学はもう一度東京に行く事を決意する。どうなるか先はわからない。
しかし、彼はどんな事があっても逃げないと決めたのだ。
それは「輓馬」が教えてくれた事。真っ直ぐ前を向いて戦う事。

ウンリュウの手綱を捌き勝利を目指す牧恵も、ばんえいの200mの中に
ある2つの障害は、馬だけではない自分が越えて行かなければ
ならない自分との戦いである事に気が付いた。

牧恵に導かれゴールを目指すウンリュウもそこで敗れたら本当に最後。
自分の将来を拓く為に、障害を越えてソリを曳くのだ。

春になって終了する帯広でのレース。それは兄と弟の心の氷解でもあった。
認める事の素晴らしさを、北海道の自然や馬の美しさをバックに
描いた良作であった。

*テツヲがフィギュアスケートの織田信成に似ていた。。。
posted by おかき at 02:34| Comment(8) | TrackBack(9) | 映画とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。ばんえい競馬・・・観ていらしたのですね。佐藤浩市が大好きなんで、ゼヒ行こうと思っています。 おかきさんの所でこれに出会えるとは思っていませんでした。
内容は観てからのお楽しみ!!あまりきちんと読んでません。映画館から帰ったら又コメントしに来ます。
Posted by おか ひろみ at 2006年05月30日 09:37
>おか ひろみさん

こちらにもコメントありがとう。

競馬大好きですから。
それにばんえい競馬の危機は映画と関係なく知っていると、何となく足を運びたくなりました。

是非見てきて下さい。
Posted by おかき at 2006年05月30日 17:18
あれ、競馬もお好きなんですか?
そうなんです、こっちに先にコメントしてました。まずは明日「海猿」を観て・・・次の水曜日に、「雪に・・・」へ行ってきます。
洋画も観たいのに、何故だか邦画へ足が向きます。・・・ま、いいか!
Posted by おか ひろみ at 2006年05月31日 00:15
>おか ひろみさん

はい、競馬も大好きです。
最近は地方競馬に行く事が多いですね。
大井、川崎、佐賀、名古屋とか。

僕は邦画とか洋画とかあんまり区別なく
見ている感じがするなぁ。
Posted by おかき at 2006年05月31日 00:38
行ってきました!観てきました。
久しぶりの渋谷に、気もそぞろ・・・109のお隣で、観てきました。
てつをが、ウンリュウと学のこと、よく見ていてくれて、よかった! 純粋なテツヲがあそこに居た理由が、あったんですね。学はウンリュウからも、テツヲからも認められたって、気づいたかな?
もう一つ、逃げないってことも、とても強く感じました。
都合の悪いこと、続くと人間逃げたくなりますよね。自分もそうなので(借金で首が回らなくなるほどのことはないけど。もっと些細なことでも、ね。)反省&気をつけようって、思います。
香川さんや桔平さん、ちょっと出の人も好きな人が多くて、嬉しかった。

おかきさん、ドイツで頭がいっぱいの所、失礼しました。 気をつけていってらっしゃい。
あ、スヌーズつきの目覚ましお忘れなく!!
Posted by おか ひろみ at 2006年06月07日 18:44
>おか ひろみさん

テツヲいいですよね。
彼がいないと、ギスギスした厩舎になってと思うんで。
この映画を見て「再生」するってのも込められているのかも知れませんね。

ドイツ。。。目覚ましはいくつ持って行くことになるのやら。。。
Posted by おかき at 2006年06月07日 20:17
TBありがとうございました。
18年間北海道在住、12年間東京在住…と
まさに主人公は自分に他ならない映画でした。
夏は岩見沢へ行って、まさにこのばんえい競馬を見に行こうと、最近決めました。
Posted by t@shi at 2006年06月08日 11:54
>t@shiさん

コメントありがとう。
そしたらt@shiさんの半生記みたいな映画だった訳ですね。。

本当に今にも潰れそうなばんえい競馬見てきてあげてください。マルニシュウカン(ウンリュウ?)も走っていたら嬉しいですね。
Posted by おかき at 2006年06月08日 22:02
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