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2006年10月28日

2006年J2第47節 柏レイソル-横浜FC 「コブシヲニギル」

岡田主審の両手が上がり、試合終了のホイッスルが鳴り響いた時、横浜のゴール裏はまるで勝利したかの様な歓喜に襲われた。昇格を争う相手に常に先手を許す苦しい試合展開を引き分けで凌ぎ、勝ち点を詰めさせなかった。だが、そこに辿り着くまでは幾多の困難を乗り切らなければならなかった。

柏は前節愛媛に3-1と破れ、横浜は勝利し勝ち点差が「4」と開いての直接対決。残り6試合で勝ち点差4は非常に厳しい点差ではある。しかしながら、この直接対決に勝利すると勝ち点差が「1」に縮まるだけでなく、自力優勝の可能性も出てくるという大きな試合。出場停止から山根が復帰し、ディエゴも怪我を押しての強行先発。もっと深刻な怪我のフランサもベンチに入る等、スクランブル体勢を敷く。この試合にかける強い意気込みはメンバーを見ただけで、ヒシヒシと伝わってくる。しかし、南の欠場は予想外だったか。


このゲームの演出家、野口ピント。不安定なセービングとキックばかりだった


柏は"本当の"ホーム・日立台での試合に命運を託す

横浜はチームの根幹の部分は代えずにこの試合に臨んだ。「1/48」と語る高木監督らしく、冷静にチームをなるべく触らない方向でもってきた。出場停止が明けた早川がCBに戻り、ヨンデもボランチに戻った。前線の2TOPは守備面を考えてのカズ・城の2TOP。横浜の守備の仕方は変わらない。縦へのボールへの対処、サイドのケアも前節と殆ど同じだ。


横浜の試合前の円陣。

試合前のイメージからすると、横浜が守ってカウンターというシーンを想定している人間が多かったと思うが、試合が始まってからロングボールが多かったのは柏で、ディフェンスラインがボールを持つと、サイドの平山、前線の鈴木・山下らに一気に放り込む。横浜のサッカーを散々「カウンター」「引きこもり」と罵倒してきた自分達がそのサッカーを実践している。もうなりふり構っていられないというある意味焦りが感じられる。


中島はコンディショニングが優れていなかったのか、攻撃は消極的だった。


ディエゴは柏の全ての得点に絡む貢献度もプレーも素晴らしい選手

前半27分、左サイド。柏・ディエゴのFKは美しい弧を描いて岡山の頭に。ロングボールが多くなりつつあった柏の中盤で、味方のボールを上手く引き出していたディエゴの綺麗なFK。岡山には山口・ヨンデが付いていたが落下点に簡単に入られてしまった。岡山の先制点で、このゲームが動き出す。

押せ押せムードの柏は前に出てくるので、格好のカウンターの餌食に。アウグストは、スペースに入り込みボールを動かして、チーム全体を押し上げていく。カズへのスルーパスもオフサイド。


横浜・三浦と柏・石川の競り合い。

その彼のボールキープ力が得点に結びついたのは前半43分。右サイドをドリブルで柏DF2人を抜いて独走すると、中央の山口に、山口は下がってきたカズに、カズは前を向いてポストをしている城に、城は左サイドを駆け上がってきたヨンデに。そのヨンデ、そのボールをシュートではなく、パスを預けて右サイドをフリーランニングしていたアウグストにクロス。

DFを振り切ったアウグストがヘディングで同点ゴールを決める。前半終了間際に追いついた気持ちを乗せるゴール。柏が横浜の十八番セットプレーからのゴールを決めれば、横浜は柏の得意とするショートパスの連続から流れる様なゴールシーンを両者が見せた。

後半は序盤横浜が押し込むがその時間帯を乗り切った柏が攻勢に出る。横浜・高木監督は疲れの見えるカズに代えて、アレモン投入。攻撃的なシフトと同時に彼がDFを下げさせてカウンターを狙う。

ただ、柏の時間帯は動かない。その時間を見計らって柏はフランサ投入。その効果はたった1分で現れた。フランサ、リカルジーニョ、鈴木、ディエゴらが作るトライアングルのショートパスで横浜守備陣を切り裂き、最後は菅野のファウルでPK獲得。これを彼が難なく決め2-1。その2分後にも中盤でボールを素早く回され、柏・平山の上げたボールをフランサが落とし、ディエゴがヘッドでねじ込み追加点3-1。


菅野でも3失点はどうする事もできず。


後半動きの良くなった柏・平山。交代させる理由が不明

昨年までの横浜ならここで終わっていただろう。いや、もっと失点していただろう。しかし、今年は違う。前半から水を何度も首に当てトレーナーに指示を仰ぐなど不安定だった中島に代えて、ソンヨン。彼が右SBに智吉が左SBに。これが効果的だった。


2点差に歯軋りして悩む高木監督。

彼の突破からCKを得ると小村がヘディング、柏・ピントが弾くもアレモンが詰めて1点返す。そしてその2分後の後半39分、城がPA内でクロスをトラップし、ヒールでゴールに流し込んだボールに詰めていたのはまたしてもアレモン。豪快に右足で突き刺して3-3の同点。

この9分後、日立台の観客席355度の包囲に涼しい秋の風が吹いた。


柏の選手の後姿がこの試合の重大性を物語る

2点差を一気に追いついて見せた。切れない気持ち。選手は諦めてなかった。「やり残した事はない」と雑誌に語った城。失点しても言葉でプレーで味方を鼓舞する姿勢は、あれをキャプテンと言わずして何と言うか。その言葉の真意は彼しか知らないが、今まではファウルをもらうと判定にばかり文句を言ってカードをもらったりと、チームの流れを自分で悪くしていたのだが、彼は逞しくなったとはっきり確信を持って言える。まるで彼の成長は、チームの成長と重なるかの様な強靭さ。

アレモンは2得点の点数以上に、「横浜を真似して」リードして下がって対応してくる柏DFを嘲笑うかの様に力で前線をねじ伏せた事が圧巻だ。私達横浜側にいた人間は、アレモンが同点ゴールを決めた瞬間に、ありったけの力を込めて拳を握ったに違いない。


選手とサポーターの熱い絆

今、君のその拳は何を握っている?
J1昇格という希望か?J2残留という虚空か?

両者勝ち点を「1」ずつ分け合ったこの試合。勝ち点差は広がりも縮まりもしなかった。まだ残り5試合。幾らでも逆転するも逆転される可能性も残っている。まだ、私達は答えるだけの場所にいないのだ。

さぁ、その答えを出す為に次の壁を突き破ろう。
この拳で、その拳で、みんなの気持ちという名の拳で。
タグ:横浜FC J2 昇格
posted by おかき at 23:45| Comment(0) | TrackBack(4) | 横浜FC2006観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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