助手席から声がする。トリニの多くは日本車で右ハンドルで、
自分の背中に近いところから呼びかけられたので、
それだけでわかる。
半歩下がりながら身体を右に捻って車を振り返る。
そこには、危ないお兄ちゃんも、凶器を持った奴もいなかった。
若い人が助手席から手を振って何かを叫んでいる。
程なくして、車は私の側に止まり笑顔でその男性は
説明を始める。よく聞いてみると
「車に乗せていってやる」と言われたが、当然断る。
何が起こるかわからない。乗り合いタクシーならまだしも、
いきなり人を乗せようだなんて危ない。
断ってスタスタ歩く。

車は私に着いてくる。また「乗らないか」と。それで、
怒ってやろうと思って運転手と顔をあわせた時だ。
さっきのCDで米ドルの引き出す場所を教えてくれたおっさんだ。
道を教えた後に、私が歩いているところを見かけたから、
車でそこまで連れて行ってくれるらしい。
ラッキー!と思ったと同時に、凄く嬉しかった。
宿代を分かっていて二重で払う辛さをずっと感じていたから、
その足取りは疲れてはいなかったけど、重たかったのだろう。
それを見て銀行まで車で送ってもらったし、その後
宿と同じ通りに住んでいるらしく宿までも送ってくれた。
ただ、最後に気になる言葉を残していった。
おじさん「宿はどこだ?」
おかき「MOTOWN GUEST HOUSEです。」
おじさん「あそこか、、、気をつけな」
その予感的中してますが。もう遅いのだが。
近隣住民の評判が悪いゲストハウスはやっぱりダメだと確信。

カーニバルが近くなってきた
兎に角、全ての日数の宿代を叩きつける様にして支払って、
部屋に篭って一度寝る。後、必要な事は出発前に
シャワーを浴びる事位だった。
ふと目が覚める。まだ夜の9時前だ。何気なく付けた
テレビでは、NFLの試合が流れている。
インディアナポリスとニューイングランド。
AFCのチャンピオン決定戦。NFCはシカゴの勝利が
伝えられている。ニューオリンズはここまでだったか。
ハリケーンで沢山のモノを失った街が復興して、ここまで
来ただけでも大きな成功だと思う。

Kaisouというカリプソのバーが出来るらしい
さて、マニングとブレディの対決は、序盤18点ものリードを
許していたコルツが終盤で逆転勝利。それを見て身体が震えた。
エアコンが涼しすぎるのではない。熱いドラマがそこにはあった。
あのマニングが終盤味方の守備陣に祈りを捧げていた。
この人間臭いシーンは感動的だった。

黒い犬が〜獲物探して〜駆けてゆく♪
私は勇気が出た。宿代も二重に払ったしw、
もう何も怖くなくなった。ふっきれた。
少し感慨深げに窓の外を眺める。もう真っ暗だ。
トリニを離れるまで実質もう半日もないのだ。
今までに無い感覚だった。ドイツでもポルトガルでも、
前回のトリニでも、「もう少しここにいたい」と
思ったが、今回は少し違う「爽快感」があった。
やりたい事をやったという感覚だろうか。
自分の心の中を爽やかな風が吹き抜けていった。
だから、眠気も早く来る。落ち着いて周りを見る余裕もあった。
日本と違いコンビニもなく、日曜の夜は静か。
店も殆ど開いていない。だから外出する用事もない。
そうなれば旅行者は宿で休めばいい。
一つ気になったのは、目覚ましだけだった。
朝6時にセットして眠った。もう遅刻はありえない。
そう思い込むだけの経験(笑)が身に付いていた。
タグ:トリニダード・トバゴ NFL



