前節の甲府戦は1-0で敗れたものの、失点はFKに合わせられたもの
だけであり、川崎や千葉戦で見せた様な流れの中からの失点は
なかったが、高木監督はDFラインを弄ってきた。
早川とコンビを組んでいた太田に代えて小村がスタメン。
昨年は非常に優秀な"壁"となっていた小村だが、今年はJ1の
速い攻撃の前に苦戦を強いられている。その彼を戻した事で
不安が過ぎったからだ。

前半から横浜FCはビルドアップに苦労する。神戸の速い寄せに
全く対応できない。特に小村と山口は狙われていた。
J2時代も山口は攻撃の基点としてマークされ、鳥栖等には
執拗にプレスを受け、昨年はこれを個人技でいなして前を
向けたが、今年では寄せの速さと連動性に行き場を失った。
小村はロングボールを蹴る事はできても散らす事に難があり、
プレスを掻い潜る前にGKにボールを戻す事で精一杯だった。
自分達でリズムを壊してゲームが進行する。

その山口へのプレスから始まったのが最初の失点だった。
やや左サイドで包まれて苦し紛れに出したボールを根占が
パスするも神戸・ボッティの足元へ、そして裏に飛び出した朴が
菅野との1対1を決めて先制。
そして前半も終わろうかとした44分には、またしても
裏に飛び出された大久保にゴールを許してしまう。
この時点でほぼ絶望的な2点のビハインドが付いてしまった。
後半から三浦に代わって内田が投入される。2点差が付き、
積極的に前から来た守備が落ち着いた為に、横浜の流れになる。
足元ではなく裏のスペースに飛び出す内田が右サイドに入り、
全体の押し上げがスムーズになりチームが活性化する。
しかし、これで点を奪えないのが今の横浜。
シュートは打っても枠にも飛ばず。そして、点が取れないまま
時間だけが進むとその勢いも消え去り、おまけとも言える
3点目を許して試合終了。

試合終了10分前近くになると、前と後ろの選手の意図がバラバラに
なってしまい、バックラインでパス交換を繰り返す始末。
それを見ているだけで、まだ味方同士での意思疎通が出来ていない事が伺える。

特に久保がそうだ。今年から加入して、味方との信頼関係が
足りない。サッカーは名前でするものではないだ。
前半1度あった山口から左の小野へ横パスのシーン。
前線に縦パスを入れるスペースがあり、久保はそのスペースに
ボールを欲しがったが、小野は一旦ボールをストップさせて、
右サイドに運んだのを見て、まだ信頼関係がないと悟った。
この選手に拘る監督に非難の声が高まりつつもある。
人は不調から抜け出す例えに「降り止まない雨はない」と言う。
その通りならば今私達は雨雲の下を歩いているのだろう。
このまま立ち止まっていても、雨が止むことはない。
自分達で次に一歩を踏み出すから雨から逃れられるだけなのだ。
試合後の記者会見で高木監督は、「自分たちのミスから招いて
しまった」と初めて具体的な原因を加えて示唆した。
今まで詳細にミスを指摘しなかった高木監督の変化、
今はそれに期待するしかない。それが踏み出す1歩である事を願う。

帰り際に小さな子どもが一緒に観戦に来ていたらしき父親に呟いた。
「ねぇお父さん、この雨はいつ止むのかな?」
それを聞いて、私は雨が降り続く空を黙ったまま見上げる事しかできなかった。



