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2018年12月04日

2018年J1参入プレーオフ2回戦 横浜FC-東京ヴェルディ「突きつけられたゴールと現実」

齋藤が顔を覆う。南が膝を折る。瀬沼が茫然とする。アディショナルタイムを含めて97分ものゲームに勝利の女神は横浜に微笑まなかった。96分の東京Vのゴールはまるでリーグ戦での失点をフラッシュバックしてしまった。それは横浜にはまだ忘れ物があると繰り返し指摘されたようだった。



負傷で欠場したレアンドロ・ドミンゲスのポジションには野村が入り、甲府戦で勢いがあった布陣を敷いて継続性を出した。大宮がそうだった様に、2012年の昇格プレーオフで横浜は通常のリーグ戦でも殆ど見たことがないシステムを用いて敗戦。長いリーグ戦関係なく、その試合だけを見た時にロジカルに整理していくと"引き分けでも勝ち上がり"という魔法の言葉の誘惑に屈して、余所行きのサッカーを展開するとどうなるか我々は知っていた。そう、順位が下で勝つしかないという相手の勢いに飲まれてしまう事がない様に、この試合では普段着のサッカーが出来ていた。東京V・佐藤は不必要に何度も転び、それを松尾主審がファウルとジャッジ。これにスタンドはヒートアップしていくが、瀬沼、北爪と比較的冷静にプレーする選手達は動じる事なく、ここと香川のラインを遮断して横浜は優位な形でゲームを進める。ここでイライラして手を出してカードをもらうとそれは相手の思うツボ。時折不敵な笑みをこぼしながら佐藤優平に対応する瀬沼が心強い。

前半にはイバのヘディングのシュートはポストを叩き、永田のヘディングシュートも枠を捉えられないがフリーでポジションを取れている。前半東京VにあったチャンスらしいチャンスはFKくらいで崩されたというシーンはなかった。レアンドロ・ドミンゲスの不在はあるものの、サイドから攻撃は有効で東京Vを押し込めている。



後半早々に東京Vは選手を2枚替える。1回戦と同じようにボランチの井上がイエローカードをもらっていた事、そして前でスペースを狙いたい。その狙いはよくわかる。もっと裏にボールを預けたいのだ。が、横浜もラインを下げられながらもしっかりとケアしてゲームの状況は動かない。横浜は動く必要がなかった。東京Vの攻撃を跳ね返して一気にカウンターで東京Vゴールに迫るもゴールネットを揺らせない。後半25分、瀬沼の突破から北爪が抜け出してシュートを放つも東京V・GK上福元に止められる。



後半35分野村が足を痛めて渡邊と交代。イバと瀬沼を前線に並べて前線の運動量を確保しつつ、中盤に蓋をする。後半43分にはイバが下がり、戸島を入れて同じ様にチーム全体のバランスを補う。ここまで完全にタヴァレス監督が今年やってきたサッカーだ。

ところが、この辺りから横浜はフワフワしてしまう。相手DFのクリアミスを瀬沼が決めきれないと、東京Vにはカウンターから攻め込まれてCKを献上。これは相手が触ってゴールキックとなって事なきを得る。が、全体的に押し上げらず相手陣内でゲームを進められない。



するとアディショナルタイム6分。東京Vに与えたCKから、マークについていた齋藤が振り切られGK上福元にフリーでヘディングを許し、これはGK南がセーブするものの、このこぼれ球を途中出場のドウグラス・ヴィエイラに決められて失点。
リーグ戦では0-0の状況でゴールキーパーがCKに参加する事はまずないが、勝利しか許されない東京Vにとっては失点してもしなくても同じならとリスクを取って攻撃に参加。さらに、直前のCKではロティーナ監督は上福元に上がらない様に制止していたから、もう一回チャンスはあると踏んだのだろう。ここがこのトーナメント戦の采配のアヤだ。



横浜に残された時間は少なすぎた。再開して右に流れた左利きの永田の右足のクロスは精度を欠き、田代のロングフィードも距離が出ない。アディショナルタイム7分の死闘で横浜は勝利を手にする事が出来なかった。参入プレーオフ敗退が決定。

タヴァレス監督としては、普段通りのサッカーを展開して失点のリスクを避けながらも、ロングカウンターからゴールを狙い続けた。結果論かもしれないが、最後の最後トーナメント戦の戦いをしたロティーナ監督と、普段通りのサッカーを展開し動かなかったタヴァレス監督の采配の差がこの1ゴールになったとも思っている。

もっと言えば、勝ち点1差で自動昇格を逃したというのは、リーグ戦で東京Vに勝ち点3を1にされた事にも起因している。6月の試合でもアディショナルタイム6分のところ、アディショナルタイム5分で許した東京V李のゴールが、横浜から優勝はおろか、自動昇格も奪い、そして参入トーナメントに引きずり込まれる結果となった。
そして、この試合でもリプレイを見るかの様にセットプレーから失点。アディショナルタイムでの失点、自分達の流れの中での失点。解決していそうでしていなかった。

選手交代はリスクでもある。必ずしも効果が出る訳でもなく、悪くなるケースもある。が、残り時間1分で選手交代で時間を使わなかった部分で采配の甘さもないとは言い切れない。リスクを取って勝ちにいく、リスクを排して勝ちに行く。どちらも正解だが、答えは結果だけが語る。あの試合の観戦記には「1分と書いて、どう読む。いっぷん?イチブ?このゲームの最後の最後をどうするか。1分の隙も許さないゲームマネージメントが監督にも選手にも求められる。このままでは昇格の可能性など一分も夢見ることはできない。 」と最後記していたが、まさしくそれが現実になってしまった。結局今年ヴェルディには未勝利のままシーズンを終えた。大混戦の昇格争いを勝ち抜いて3位になったが、まだまだ足りていないからこうなったのだ。6位以内に入れば何とかではなく、昇格そして優勝を掲げる。それと同時にそれをサポーターも信じて願う。そのレベルにあったか。





甲府戦でアウェイスタンドを染めた水色の軍団は、この試合牙を抜かれた獅子のようだった。「勝てるだろ?」「引き分けでもいいし」という心の余裕が、自分も含めどこかで決定戦に進めるものと思ってはいなかったか。勝たないといけないという相手に如何に向き合うか。東京Vは昨年プレーオフで敗退して今年こそという思いもあった。クラブOBの藤川氏や元監督のカルバーリョ氏が今年11月に相次いで亡くなった。ロティーナ監督退任も囁かれ、有終の美を飾りたいという思い、大宮を数的不利の中で撃破して勝ち上がった勢い。それをさらに飲み込んでいく強さ、大きさは数で勝るはずの横浜にはなかった。

アウェイにジャックされて平気平気という時代は過ぎ、どうやってホームで圧倒するスタジアムを作っていくか。それがホームの強さを生んでいくはず。少なくともこのゲームと関係ないJ1チームのサポーターの多くにメインの座席を陣取って高見の見物されているようではダメなんだ。招待客ではなく、どうやって熱のあるサポーターを増やしていくのか。サッカーの中身だけではなくクラブ全体やサポーターが持っている総合力もJ1レベルにあるのか。この敗退は、そういうものが問われた結果も象徴している気がしてならない。
posted by おかき at 01:43| Comment(0) | 横浜FC2018観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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