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2019年08月20日

2019年J2第28節 FC琉球-横浜FC「楽しかった」

「楽しかった」と言って席を立ったのはベンガラ色のシャツを着た琉球サポーターだった。もっともその直前には「負けたけど」という言葉はつくのだが。横浜は1-3で勝利。10試合負けなしとなったが、後半の試合内容を見ると安穏としていられるものではなかった。彼らが楽しかったと言っていたのは、この夏の移籍期間でFC琉球に加入した小野伸二のプレーが見られたことに他ならない。

彼の登場までは横浜の時間だった。夏の移籍期間で、鈴木、和田、増谷を失ったチームは縦にボールが入らず横浜がゲームを支配。天皇杯もあり中2日で臨んだチームだったが、ターンオーバーを敷いたチームはほとんどの選手がフレッシュな状態でコンディションに不安はなかった。
先制点は横浜だった。ショートコーナーのボールを齋藤が左足でミドルシュートを放つと琉球GKカルバハルも反応出来ない絶妙なコースとスピードでゴールネットを揺らした。これがリーグ戦としては今シーズン初めてのゴール。「功佑には厳しい」とあるサポーターの方からいただいたことがあるのだが、これまで味方がそばにいると捌くことばかりになっていて、積極性が感じられなかった。ポジション、シチュエーションが同じではないが、打てる時に打たない。天皇杯では仙台大学戦で見せたボレーシュートもそうだし、直近のF・マリノス戦では斉藤光毅がボールを受けて、それを追い越し、出てきたスルーパスを流し込んだ。目の前はGKとゴールしかない。パスをする味方もいない。自分しかいない。そういうシチュエーションが彼のインスピレーションを呼び覚ましたのかもしれない。



前半10分に幸先よく横浜は先制したが、迂闊なミスから同点にされたのが前半19分。琉球のロングボールに競ったのが、残っていた琉球・西河。彼が競ってこぼれたボールにGK南が飛び出すも、一瞬躊躇したところを琉球・上門に角度のないところからシュートを放たれて同点に追いつかれた。

一瞬嫌な空気になるが、逆転を続けている横浜はその3分後、イバの前線からのプレスでボールを奪い、齋藤から裏に抜け出した松尾にパスが出る。琉球GKカルバハルが飛び出してくるが、これを見てしっかりと逆方向に浮いたボールを流し込んで1-2と逆転。この日もレアンドロ・ドミンゲスはスタメンではなかったが、そのポジションに入った齋藤功佑が1ゴール1アシストと結果を残す。山口戦では斉藤光毅も結果を出している。ポジション争いが激しく、出た選手が結果を出す。その好循環がさらに3点目をもたらす。



前半アディショナルタイムに左サイドの松尾が中に折り返すと、中山がミドルシュートを放つ。カーブがかかりポストギリギリのところに吸い込まれていった。齋藤と松尾が決めて、同じ世代の自分も決めたいという気持ちもあっただろうし、決めないとポジションがなくなるという緊張感もある。前半だけで3ゴールで試合を決めてしまった。

横浜にとって今楽しいとは、勝つ事だろう。昨年3位になりJ1参入プレーオフで敗れた横浜は、今年こそは自動昇格するのが目標である。前半こそ躓いたが、下平監督になってから7月8月をリーグ戦無敗で突き進んでいる。満員の観客も大事だし、カズがキャプテンマークを中村俊輔に付けるというエモいシーンもメディアには重要かもしれないが、それ以上に昇格する事が楽しいのである。昇格する為には勝つのが楽しい。それが今の横浜だと自分は感じている。



そういう意味で琉球は今の自分たちのポジションを理解しているともいえる。後半15分小野伸二の投入。2点差ということもあり、天才と謳われたこの日の多くの観客が待ちわびていた目玉が投入されると、大きな拍手と指笛がスタジアムに響きわたった。
小野の鋭いパスがあるので横浜は迂闊に飛び出せず、低い位置でブロックを作る事が増え、前線との距離が出来てしまい分断されてしまう。イバに代わって入った皆川は前線で奮闘するも孤立し、前半程厚みのある攻撃は生まれなかった。

それでも小野が合流して初めての公式戦では味方との呼吸があっていないところがあり、横浜としてはそこが助かったが、ゲームの流れは琉球に傾いていく。エンターテインメントとして、中村俊輔を入れても良かったのかもしれないが、3人目の交代で後半40分に渡邊が登場するのを見て、横浜は負けたけど楽しかったといえる状況ではないのを改めて実感させられる。そう、負けたけどではないのである。



結局ゲームはそのままタイムアップ。1-3で横浜が勝利した。沖縄という日本屈指のリゾートに夏休み期間に遊びに行き、しかも試合も勝つ。こんな「楽しい」事はない。満員のアウェイで、相手チームの目玉選手を引っ張り出して、悪者になる事なく勝利を出来た。昇格を争うライバルとも熾烈な戦いは程よい緊張感がある。残り15試合。柏がやや抜けているとは言え、まだ先はどのチームも見えていないだろう。
この日、横浜FCジュニアユースに所属し青森山田から古宿の新加入も発表になった。続々と高卒、大卒の選手の加入の発表が続き、チームは4位を維持。昨年3位になったが、それだけだ。J1から降格した訳でもない。この状態を楽しまなくてどうする。俺たちは挑戦者である。
posted by おかき at 20:24| Comment(0) | 横浜FC2019観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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