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2019年10月08日

2019年J2第35節 横浜FC-柏レイソル「名前を憶えてくれたかな」

遅れてきた男がこの土壇場でゲームを決めた。横浜の16試合連続負けなしの始まりはこの男のゴールからだった。クロスボールに想定とは違う角度で飛びながら、ヘディングシュートはゴールネットに突き刺さった。勇躍して次戦の岡山戦の前半で負傷して戦線離脱。その間に強化指定だった松尾が活躍して横浜の左サイドに君臨すると、右サイドも草野と同じルーキーの中山の成長著しく、2人でチームの好調を牽引。彼が不在の間に、チームは順位を上げ続け、とうとう昇格争いを名乗れるところまでやってきていた。
しかしその2人を次第に各チームが研究、対策する様になるとチームも停滞し始める。前節の岐阜戦も終了間際に失点して勝ち点2を失った。そういう少し行き止まり感を感じる中で迎えた首位の柏戦。遅れてきた男草野はベンチメンバーに名を連ねた。



チームは岐阜戦の後に非公開練習を重ね、柏戦に向けての意気込みが伝わってきた。チームが徹底したのは、オルンガとクリスティアーノ、マテウス・サビオ、そして江坂への対策だろう。基本的に4-2-3-1を組む横浜としては、彼らにどう対応するのか、中盤で挟まれるだろうレアンドロ・ドミンゲスが古巣との戦いでどこまでのパフォーマンスを見せるのかが鍵だった。

蓋を開けてみると、柏にチャンスらしいチャンスを与えなかったのが横浜。サビオはボールを持てる選手ではあるが、柏・古賀のオーバーラップはほとんどなく、ボールは持たれるが内側の狭いスペースにカットインするばかりの選手に怖さは感じなかった。
注目されたオルンガもキャラと伊野波が丁寧なカバーリングと時折見せるハードな当たりで柏が意図する様なプレーはほとんど許さなかった。

柏は首位で勝ち点差がある事で、前線からガツガツ来るというよりは一種ハメに来ているが、横浜はサビオ、クリスティアーノを押し下げることに成功し、ピンチらしいピンチを作らせなかった。特に左サイドバックの武田はクリスティアーノに攻撃参加を許さない程の徹底したマークで立ちはだかり、左サイドを横浜が完全に支配していた。



柏としては勝ち点を横浜に与えずタフな試合でも引き分けで終われば良し。もちろんゴールを狙って奪えれば良しという展開に見えた。途中攻撃の形をオルンガの1トップで裏を狙う様なやり方にしても、横浜は適切に処理して事なきを得た。この形では、柏の強力なサイドはゲームに有機的に絡めない。カットインして江坂と絡む時には鋭さは感じたが、それもスカウティングに入っていたのか真ん中の守りは堅かった。

試合後松井が「インテリオール」と言った様に、横浜は攻撃時に田代が落ちて3バックになり、サイドバックが上がって3-3-3-1の様な形をイメージしていたのだろうか。レアンドロ・ドミンゲスへのマークがきつく思ったような形には出来なかったが、それでも敵陣にいる時間も長く、ボールを失ってカウンターの様な形で攻め込まれても正直脅威を感じなかった。5月の日立台での柏戦の方が遙かに強度があった。

後半になって横浜は、システムを変更。2ボランチの形で組みなおして、これが功を奏する。後半柏の攻撃らしい攻撃は消えてしまった。

明暗を分けたのは、後半25分の両者の交代だった。柏はサビオに代えてジュニオールサントスを入れ、横浜は病み上がりの中山に代えて草野を投入。登場当初は左サイドで突破を図っていた柏サントスだったが、足元がおぼつかないプレーも多く、横浜にとって脅威にはならなかった。対面する草野も当初は中山程プレスバックせず、ボールを呼びこむばかりで効果的な形で機能しているとは言い難いプレーもあった。ただ、自分は口にしていた。「拮抗したゲームの場合、こういう選手が決める事ってあるんだよなぁ。」と。



それでも時間は過ぎていく。柏としては時間が過ぎていき、引き分けでも御の字のはず。3位のチームに勝ち点差を詰められることがなければ、優位は揺るがない。横浜は違った。渡邊を入れて中盤のボール奪取を引き締めると、斉藤も入れて引き分けで良しとはせず。引き分けでよいというチームと、勝たないといけないというチームの意識の差が、後半アディショナルタイムのドラマを生んだ。



カウンターから持ち上がり、斉藤のシュートは柏DFに当たりコーナーキックに。レアンドロ・ドミンゲスの上げたボールは、カルフィン・ヨン・ア・ピンとイバと柏の選手が競り合いフワッと浮き球になった。そこに一番に飛び込んだのは草野だった。柏GK中村が伸ばす腕のその先に転がり値千金の先制ゴールとなった。



そして、掲示されたアディショナルタイムを過ぎて試合は終了。横浜が1-0と拮抗したゲームを制して昇格戦線に生き残った。お互い上位に位置して、お互いを研究して、相手の良さを消しあうタフな試合だった。どっちに転んでもおかしくない試合ではあったが、勝つしか生き残れないチームの気持ちが勝った。引き分けで良しではなかった。ゴールした草野は約3か月ぶりの登場で相手にもデータは少ない。柏のネルシーニョ監督は、彼の名前を知っていただろうか。「草野侑己」これで彼の名前を憶えてくれましたか?
posted by おかき at 20:10| Comment(0) | 横浜FC2019観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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