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2020年08月17日

2020年J1第10節 横浜FC-湘南ベルマーレ「指しすぎると」

将棋の世界には、「指しすぎ」という言葉がある。攻める際でも、守る際でも必要以上の手を指すことで隙を作ってしまい、流れを渡してしまったり、ピンチを招くことを言うのだが、まさしくこの日の横浜は、指しすぎの状態にあった。
結果的にではあるが、後半杉本、小林の2人を投入してから横浜はリズムを失った。どちらの選手の起用にも理由はあって、新加入の杉本は試合勘を取り戻させたい部分があっただろうし、中3日で迎える鹿島戦を見据えて伊野波の疲労と若手の経験を考えたものだと思っている。ただ、杉本は持ち味の俊足を披露できたが、湘南のクロスボールのこぼれ球をクリアしようとしたがキックミスになり相手選手の足元にプレゼントパス。湘南・石原は軽く触るだけでよかった。
小林は伊野波の様な縦パスを入れる事が出来ず、ディフェンスラインがずるずる下がる原因を作ってしまった。さらにFKでマークする湘南・岡本に前に入られて後半31分追加点を許した。




この日の横浜の前半はほぼパーフェクト。3バックでハイラインを敷く湘南の裏のスペースに選手が飛び出してチャンスを連発。前半3分、一美の折り返しを松浦が左足で相手に当てながらゴールを決めたのを皮切りに、前半15分は一美のスルーパスに松尾が反応し、追いすがる湘南守備陣を振り払い、GKも交わして追加点。松尾待望のJ1初ゴールが生まれた。前半17分には、松浦のクロスが湘南・岡本の広げた左手に当たりPKを獲得。この日2アシストの一美がPKを決めて3点差に。極めつけは松浦からのクロスを収めた松尾が角度のないところから左足を振り抜いて4点目。



前線の選手が大いに躍動している。一つは、松尾が守備のタスクが軽減されているのが大きい。3-1-4-2とJリーグ再開から3バックにして自分達でボールを繋いでいくというコンセプトを作り直した反面、松尾はウィングバックになり守備の負担も増大。前に行きたい時にいけないもどかしさは見ている側でもわかる。仙台大学でも10番を背負った攻撃に持ち味をもつ選手が多くの時間を守備に割くようになり、相手の脅威になりえてなかった。体力を使うからか鋭い突破は影を潜めてしまう。そしてチームも連敗では、新しい方法が如何にボールを保持できていようが、勝利出来ていないのを見ると効果的ではなかったのではないか。
そういう意味で、4-4-2にしてサイドMFに松尾を固定したのはチームに良い影響を与えているだろう。後ろにもう一枚いるからどんどん前を向いて仕掛ける。足かせが取れた様にこの試合松尾は輝いた。
もう一つは、キャラと伊野波の安定感に他ならない。小林が入ってからボールが適切に出せなくなったように、この2人の守備での安定感とビルドアップは高いレベルにある。先制点の起点になった伊野波のパスを含め、低い位置からでも繋ぎながら動きながら相手を剥がせていた。

そういう質の良さを前半20分で披露させられると、見ている側にとっては適切なボール回しすら愚鈍に思えてきてしまう。湘南は早いところからサイドの選手に展開してからが攻撃のポイントに見えたが、選手同士の距離感が悪く二次三次と攻撃を連動させられない。



松尾はハットトリックを狙っていたようだが、チームとしては4点も早い段階で手に入るとどうしても選手個々の意識が同じにならなくなる。昨年のJ2最終節の柏京都戦のような点差は、リーグ最終節で勝たなければいけなような特殊な環境があったから生まれたと思うが、もう十分だと思う選手、松尾の様にまだまだやりたい選手、得点よりもゼロで押さえたいと思う選手など、勝利に手をかけはじめるとそこから次何を求めるかで意識が変わってしまう。



監督が指した次の一手は、テストと休息。結果的には横浜を弛緩させる指しすぎの手になった。チームの守備戦術にフィットしていない杉本は追いかけすぎてスペースを与えてしまう。小林は前述の通りボールを縦に入れられなくなった。杉本のミスから失点をし、そこで前線の選手もフレッシュな選手に交代させるも乱れたリズムを取り戻せない。



結局後半はこのまま湘南にペースを握られたまま4-2で試合終了。大量得点はしたが、何とも後味の悪さの残る試合となった。19日に試合がすぐある事でフレッシュな選手を入れた方がいいというのは、簡単に思いつくことであるがいざ実際にそれをして失敗するとこうなってしまうのである。下平監督の意図はわかるだけに、これが中々嵌らないのは辛い。交代がもう10分後だったらそれはそれで違った展開だっただろうが、それはたらればの話。



最下位の湘南であっても、そこまでの余裕があるチームではなかった。勝利して16位に浮上するも、それは試合が新型コロナの影響で中止になった鳥栖を抜いたに過ぎない。次節の鹿島は不調ではあるが、元々強豪のクラブ。指しすぎるとしっぺ返しがあるという反省をいかして、19日の鹿島戦に臨みたい。
posted by おかき at 19:30| Comment(0) | 横浜FC2020観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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