昌原は観光地がどちらかと言えば街の中心部にはなく、郊外の
自然に観光地が多い土地である。
だが、U-17の試合が6時間後に迫っている今、そこにいく余裕はない。
この中途半端な時間が凄く無駄に感じてしまう。

スタジアムはさておき、とりあえず鉄道の駅を目指す事に。
それは日本的な「駅の近くなら休むところ位あるだろ?」的発想で、
地図を見て、右側にある●昌原駅に向かう事にした。
ちなみに「●昌原」としたのは、昌原は読めるのだけど、ハングルで
その駅の頭にある言葉を読めないから。
昌原駅は向かって左にあって、●昌原駅は右にある。
スタジアムはバスターミナルの地図だと●昌原駅の上にある。

そんな危なっかしい旅だから、この先路頭に迷う事になった。
来たバスに乗り込む。確かに●昌原駅には行くようだ。
地図だと右にまっすぐ走った後に右に折れて行くだけで、●昌原駅に
到着するのだけれども、一向に着かない。
昌原はこの日どんよりと曇っていて、天気と同様に自分の気持ちも
モヤモヤしたものを感じていた。
すると見えてきたものは、何と「昌原駅」。バスターミナルに面した
道路を右に向かって走っていたと思っていたら、実は逆の左に、つまり
西に向かって走っていたのだった。
しかも、記憶を紐解いていくと、昌原駅の正面は大きなT字路に
なっていて、目の前には左と前しかない。つまり、バスは昌原駅を
通過して南に向かってしまっている。

災難は続くもので、昌原駅を過ぎて慌てて次の停留所でバスを止めたが
一回大きな陸橋を超えた後だった。普通に一つ先の停留所に止まるの
よりも精神的に疲労する。
陸橋脇の道を戻るが、入り組んでいてよくわからない。
古い住宅地ばかりで、タクシーも通らないし、少し思案する。
で、結局、その住宅地に何かを配達している人に相談。お互い
たどたどしい英語で昌原駅への道を教えてもらって行こうと
した時、片手にスーツケースを持っている事をその人が気づき、
たまたまその道を通りがかった大工か何かのおじさんと交渉を
始めてその人の車に乗せてもらう事になった。
私は韓国語が話せないし、おじさんは日本語も英語も不可で、
小さなライトバンの中では無言だったが、駅前で降ろしてもらうと
横断歩道の渡り方まで、身振り手振りで教えてくれた。感謝。
昌原駅に戻ってきた。だが、何もする事がない。何もできない気分
だったといえばそうなるか。バスで逆方向に走ってしまうと、
次に踏み出す一歩が怖くなる。もちろん、ずっとその場所に
立ち止まっている訳にもいかないので、昌原駅前をブラブラするが
この日は日曜日という事もあって、駅前の商店街は静かだ。

そうは言っても、今いる場所はスタジアムから遠く離れた
昌原駅なのでどうにかして戻らないといけない。バス選びは
自然と慎重になる。これでもう午後3時。2時間何やっていたんだ。
昌原駅前のバス停は人の列が絶える事はない。その中で、
スーツケースを持った日本人がいくつもある地図を眺めて
いれば、怪しい事この上ない。

想像だけれども、ここはラブホ街。カップルがこそこそと出てきた
そこで一人の軍人、水兵の格好をしたお兄さんが声をかけてくる。
でも、私は韓国語が話せない。さて、、、
昌原駅前に立て掛けてあった大きな看板にあった、
スタジアムらしき単語をメモしていて、それを見せると、
「アア」とわかってくれたみたいだ。
そして、スタジアムの目の前を通るバスに乗り込んだ。
バスは混雑していて、みなスタジアムに向かうのかなと
思っていたがそうではない様で、結局スタジアムで降りたのは
私一人だった。
何とマイナーな大会なのだろうU-17ワールドカップ。

スタジアムは試合開始の準備が進められている様ではあるが、
ボランティアスタッフはみんなで遊んでいる。牧歌的である。
開場時間は午後5時。結局私が一番乗りで客席に入った。



