ワールドカップスタジアムに初めて足を運んだ感動だからではない。
磐田にいた金珍圭を見た事でもない。

横浜FCサポーターなら誰でも知っているであろう、
「幸せなら手をたたこう」をFCソウルサポーターも歌っていたのだ。
FCソウルの応援歌的な存在で、オーロラビジョンにイメージ映像を
この曲をBGMで流しているので、どちらが先なのかは類推できるが
初めて来た私の様な人間には衝撃的だった。
しかも、この8/29は横浜FCの高木監督が解任され、ジュリオレアル
新監督になってまだ2日目、前日の清水戦では敗戦を喫していた。
その中で、まさに故郷を思い出す歌は自分の心に大きく鳴り響いた。

日本からの旅行者にとっては、どちらでもいいはずの試合をFCソウル
寄りに見始める自分がいるのがわかる。歌や応援の迫力というのは
こうしたところに現れる。普段の観客だけでなく、どちらでもない
立場にいる人を引き込む魔力がある。

その試合だが、浦項(ポハン)が押している。元仙台のシュウェンクが
いて、彼がボールを上手く引き出していたのが印象的だ。
ただ、カウンター一辺倒で厚みという部分では、迫力に欠けた。

FCソウルの外国人は、#11のドゥドゥはブラジル人らしく前線で
巧みなボールコントロールを見せていたが、ポルトガル人のリカルドは
ポジショニングが悪く、ボランチは4-4-2なのに1人で戦っていると
感じていたら、そのリカルドがハーフウェイ付近から蹴ったFKが
直接ゴールに入ってしまう。鮮やかなFKというよりは、前線に蹴ったら
味方FWと相手DFが交錯して、GKがボールを見失ってしまったもの。
だが、先制した事でFCソウルがゲームをコントロール。

前半12分の先制点に続いて、22分にはリカルドのフリーキックに
ポハンのDFが下がりながら対応したが、ヘディングでクリア
しようとしたが、それがオウンゴールになってしまった。
先制点を与え、オウンゴールもポハンのキャプテンが献上し、
ポハンは完全に意気消沈。前半はFCソウルの流れでゲームが進む。
いつFCソウルがゲームを決める3点目を奪ってもおかしくない
展開で始まった後半だったが、FCソウルは中盤の
#14キム・ハンヨンがこの日2枚目のイエローカードで退場。

するとポハンの動きがよくなるのと、そのポジションを誰が
埋めるのかFCソウルが苦労しており、ポハンにもチャンスが。
1点でも返せれば白熱する試合になったが、逆にFCソウルが
カウンターから#11ドゥドゥが決めて3-0としてゲームを決めた。

試合後もスタジアムに響いた「幸せなら手をたたこう」。
一人退場者は出したが、完封勝利にその拍手も大きくなる。
職場で来たのだろうか、その人達に写真を頼まれた。韓国語で。
一つの目標を観客みんなで手にした喜び。有名選手を見る事が、
スタジアムで喜びを味わう部分ではない。

スタジアムで観客の最大の幸せとは「勝利」なのだ。
異国の地でこの曲を試合前に聞き胸が熱くなり、そして
試合後に聞いて故郷のチームの状況に心を痛めた。
幸せなら手を叩けるが、今の横浜FCに拍手を贈れるのだろうか。
憂いという名のため息しか今は出てこない。




