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2007年12月02日

2007年J1第34節 横浜FC-浦和レッズ 「レジスタンス」

日産スタジアムを真っ赤に染めたのは浦和のサポーター。この日、スタジアムに足を運んだ約4万6千人のうち、4万人近くを占め自軍ゴール裏はもちろんメインスタンド、バックスタンドの殆どの席を占拠した。まさに横浜に侵攻した浦和軍と言ってもいい。

だが、どれだけ数の論理で席を占拠しても大切なのは、どこに気持ちがあるかである。選手入場の際に、浦和は禁止されている場所から横断幕を2階から1階に垂らした。大人な横浜サポーターの多くはそれを受け入れていたが、一部の人達は明らかにホーム側であるのに、なぜ浦和の幕を自分の目の前に下ろすのかとその幕を遮る様に横浜の青いマフラーを掲げ続けた。たった数分の出来事であったが、その光景は私の心を強く打った。横浜のゴール裏を除けば、赤い波に飲み込まれている青き雫だったがそれぞれがそれぞれのやり方で横浜への思いを貫いた。浦和から見れば鼻で笑う光景に写っただろうがそのささやかな抵抗は、試合にまで伝染した。



ゲームは開始直後より横浜が浦和を圧倒する。これはゲームプランを立てていたのだろう。多少無理をしても中盤は中盤のポンテ・長谷部をしっかりとマークし、ゲームを組み立てさせない。サイドへはある程度自由に展開させて、中央の最後の部分だけをケアした。個人技で敵わないなら、人数を掛けて挟み込み自由にさせない。横浜の抵抗は序盤から激しかった。



ただ想定外だったのは、浦和のパフォーマンスの悪さだろうか。永井や長谷部がサイドを破っても、クロスは全く合わない。低い位置からのサイドチェンジは味方の頭を越えていく。守備面はこれが首位だったのかと思わせる様な失望する内容。目の前のボールに足が出ず、後手後手に回り横浜の根占・滝澤に山口を加えた中盤にボールを好きな様に回されていた。



横浜の流れのまま迎えた前半17分。左サイドを破った三浦知は、中央に2列目から走りこんだ根占にグランダーのクロスを供給。根占は追いすがるDFをモノともせず、角度を変えるだけでよかった。横浜FC先制。

首位?優勝?勝ち点?そんな事情は関知しない。なぜならここは「横浜」だから。この街は自分達が守らなければならない。赤い戦士達にスタジアムを占領されても、散り散りになった仲間は声を出し、各々が戦っていた。
後半になって、浦和はカタタウとのマッチアップに負け続けたネネに代えて病み上がりの田中を投入。浦和の焦りがわかる。だが、後半は一方的な浦和ペース。前半で飛ばしすぎた横浜は、全体的に運動量が落ちDFラインがズルズル下がり、次第に浦和の横浜ゴールへの包囲網が迫る。ワシントンに永井、田中とシュートを立て続けに放つ。しかし、どれも枠を捉えきれない。



ジュリオレアル監督は、カタタウに代えてヨンチョル投入。しかし、この行き過ぎた采配は裏目になる。前線で起点になっていたカタタウが抜けて、ヨンチョルはボールをキープする事ができず、浦和の高い位置からのカウンターの基点になった。

横浜DF陣はそのカウンターにも身体を張って守った。小村、岩倉は振り切られながらも身体を入れてワシントンを封殺。中島と山田が永井と田中の挑戦を退け続けると、逆に横浜はヨンチョルがいい形のカウンターを何度か作り出し、前に行きたい浦和の後ろを警戒させ必死の抵抗を試みる。



こうなってくると、浦和の焦燥感が色濃くなる。ワシントンへ単純に放り込んでは跳ね返され、カウンターに怯え、遅い攻撃にとうとう浦和はサポーターからブーイングが飛び出す。優勝に向けて1枚岩なはずのクラブが内側から崩壊していった。提示されたロスタイムは長い4分。



もういいでしょう。これ以上は。笛が鳴ったと同時に膝を付く浦和の選手達。これで何があったのかはっきりした。横浜が浦和に最後の抵抗を見せて勝利、そして浦和の首位陥落。



この小さなクラブが最後の最後に見せたモノは、連戦連敗で忘れかけていた大切なものではなかろうか。今となってはもう過去の成績は取り戻せない。もちろん反省も必要であるし、責任を取る人間も出てこなければならない。しかし、来年このテンションと気持ちを忘れなければ、自ずと道は開けてくる。ある選手が私にこう言ってくれた。「ファンやサポーターの数も重要だが、本当に重要なのはその人達の情熱なんです。それが私達を後押ししてくれるのだから。」

私達は赤い波に包まれる事を知りながらどうして、青い衣を纏ったのか。それは心の奥に「戦う」気持ちがあったからだろう。
ラベル:横浜FC J1 浦和
posted by おかき at 04:09| Comment(0) | TrackBack(3) | 横浜FC2007観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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