中々見る事が出来ないだろう。3点リードされた後半のワイタケレは
日本人の圧倒的な応援を背に戦っていた。
一方的に判官びいきするしかない程技術的な差は大きかった。

前半3、4分と立て続けに得点したセパハンは余裕の試合運び。
イラン代表のナビドキア、カゼミをベンチで温存しても圧倒的優勢でゲームを進める。#7ババドラニを中心に、ボールを捌くスペースも
蹴るまでの時間もあった。

ワイタケレはラグビーが盛んな国ニュージーランドの選手が多くて
接点で強く、元ニュージーランド代表#5ヘイがセパハンの#13カリミを
吹き飛ばしたシーンは圧巻だったが、基本的にスピードがなく
スペースへのカバーリングに苦慮していた。

それでもセパハンは、2点リードした事でむやみに攻めるのを止め、
出来るだけ簡単な方法で点を取る事を考えたから、得点が生まれる
機会はなかった。
後半信じられないゴールからゲームが始まる。後半開始2分、
セパハン#12アルハイルの放ったミドルシュートをワイタケレの
GK#22イーディが後逸して3点目がセパハンに入った。
イーディは元ニュージーランド代表だが、その彼の後逸は
監督に「チームにとって最悪の日だった」と言わせるものだった。

3点目が入ってから、試合内容とは裏腹にスタジアムは熱を帯び
てくる。勝負の行方がはっきりした事で、日本人特有の
判官びいきが始まる。時間を稼ぐセパハンGKモハマディには
大きなブーイングが飛ぶ。
この試合はACL決勝で浦和が負けていると、この試合に出場して
いたのはセパハンではなく浦和であり、それを見越してチケットを
購入した浦和サポが多くいた事が、この下地にあったと思う。

またワイタケレは全く殴られっぱなしだったのではなく、
ソロモン諸島代表である#9トトリの速い突破はチャンスを作り
出せていた事が、「ガンバレ」という気持ちに繋がったのだろう。

だからセパハンのオウンゴールで1点がワイタケレに入った瞬間が
この試合一番の盛り上がりを見せた。日本人の応援が形になった。
その後はワイタケレが一方的に攻め込む展開。最後はFWの
全登録選手を起用し、前線の#16エンブレンに放り込んで打開を
図ったが、得点する事はできず終了。
試合後川淵JFA会長も「これでは客は呼べない」と語っていたが
全くその通りで、オウンゴールがハイライトになる試合を
世界クラブ決定戦の試合とは呼べないだろう。そもそもガンバレが
声援や歓声の理由になってしまう大会のレベルは、世界一を
争うにふさわしくない。

それにしても、セパハンはいつも敵役になってしまうのが可哀想。
同じアジアならアジアのチームを応援してもよさそうなのに、
ゲームに大差が付いた事から皆ワイタケレの応援になって
しまった。応援とは言っても、成長を見守る親の様な目線で
ゲームを見ていた感じだろう。
それと同様に、このクラブワールドカップの今後の方向性や
権威ももっとしっかりしていかなければならないだろう。
贔屓目に見ても、開幕戦なのにスタジアムの定員の半分も入って
いないこの現状。それが観客のこの大会に関する評価である。



