Xリーグでもその名を轟かせる松下の「壁」。その鉄壁の守備陣は、DLやLB等守備陣に日本代表を何人も擁し、多くのXリーグのチームが泣き、2006年は5試合で失点7という驚異的な数字をたたき出している。そのXリーグの「盾」とでも言うべき、松下の「壁」に三原は敢然と立ち向かった。

試合は第1Q開始2分25秒で松下電工がTDを挙げて先制すると、直後のノーハドルで仕掛けてくる関西学院のオフェンスを食い止め、逆にTDで得点を追加した事で、前半は松下の流れになった。
関西学院も第2Q開始直後にFGをK大西が決めてこの試合初めて得点を挙げたが、まるで烈火のごとく関西学院に襲い掛かった松下は第2Qだけで17点を奪い31-3と大量リードをして前半を終了する。

ゲームは殆ど終わってしまっていた。28点差は単純計算で4TD。関西学院の前に立ちはだかる「壁」を乗り越えられないでいる。ただ、一つ勝機、いや見せ場があるとするならば、2005年シーズン、XBOWLで松下はオービックと対戦し怒涛の逆転劇を喫している点を初めとして、後半守備に綻びが目立つケースがある。ここを衝けるか、あるいはまだ関西学院にその気持ちが残っているか。それだけだった。
その後半、関西学院がTDを挙げて松下を攻略し始める。前半と同じく多くのプレーはノーハドルオフェンスだが、プレー自体が非常にシンプルになり、迷いが見られなくなった。またそれと相反する様に、ショベルパスを多用して松下電工のリズムを崩す事に成功。松下の守備陣に穴が見える様になると、QB#9三原はWR#1岸、RB#38平田、WR#85秋山らを巧みに使い分けて前進し、第3Q2分5秒関西学院がTDを挙げる。
関西学院がTDを挙げた直後に松下は#33粳田がTDを決めて、関西学院の気持ちを折ろうとするが、開き直った関西学院の勢いは止められなかった。

その直後の攻撃、三原の手から放たれた長いボールは、加速して走りこむ秋山の胸の中に。対応していた日本代表のDB#10東を、スピードで振り切って60ヤードのTDパスを決めると、再び60ヤードのロングゲインから、TDを決めて第3Qだけで21点。38-24と14点差、2TD差まで追いすがる。松下はエースQB#8高田が第3Qで負傷退場し、勢いが対照的なものになった。

そして14点差のまま突入した第4Q。前半の点差から松下圧勝という空気はどこにもなく、逃げ切れるかどうかになってきた。関西学院は一度ターンオーバーで、攻撃権を松下に明け渡すがすぐさまパントに追い込んでこれを取り返し、その攻撃をTDにつなげて、7点差。俄かに色めき立つ観客席。

だが、これを阻止したのが、日本代表QB高田。負傷していたがその痛みをこらえて再登板すると、その攻撃シリーズでTDを奪って45-31と突き放し、尚も追いすがる関西学院の攻撃を#21DB小路がインターセプトのTDを決めて52-31。

勝負は決したが、関西学院の本領はここから。点差があってもTDを狙う。オンサイドキックでマイボールを狙って、これに成功すると、そのシリーズでTDを決めて52-38。最後は再び松下#21小路が三原のボールをインターセプトしてゲームは終了した。
松下は勝利こそしたが、看板の「盾」を完全に壊されての勝利だけに手放しでは褒められない。高田様様としか言えない。トーナメント戦だけに勝利が何より。
逆に、関西学院は負けて尚強しという印象を確実に観客に残した。守備陣が全く松下に叶わなかった点が差に出たが、三原率いる攻撃陣は点差が付いてからとは言え社会人王者を慌てさせた。インターセプトは喫したが、点差が付いて追いかけなければならない状況の中で、積極的に投げたと評価してもいい位だった。何より彼は大会記録になる553ヤードを投げているのだ。

MVPこそ勝利した松下の高田が選ばれたが、孤軍奮闘していた関西学院の三原にも賞はあってもおかしくはない。そのプレーはファイターズ、つまりは戦士という名に恥じぬものだった。
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自分も現場で見ていたのですが。2Q終わった時点で『松下電工圧勝』を予想していたのですが、3Qからの関学の頑張りは見事でした。
4Qのファンブルによるターンオーバーさえなければ、ひょっとしたら追いつけていたかもしれないと思っており、あのプレーはもったいなかったです。(松下守備時のラッシュも素晴らしかったですが)
流れが一旦切れましたし。
そして、高田の再登板から簡単にゲインを許した事で苦しくなったかなと思ってます。
ただ関学の三原はいいQBでしたね。