最近の記事

2008年04月14日

2008年ホッケー 北京五輪最終予選 ドイツ代表-日本代表 「ベルリンの壁」

試合終了を告げるホンはもう鳴った。このPCが最後のプレーである事は
皆わかっている。4-0では勝利はない。それでも観客は祈りを込めた。
最終予選でここまで5試合して無失点のドイツに、一矢を報いたい。
それだけの思いだった。



坪内がドラッグして始まる、この試合最後のプレー。ストッパーとして
中央で小澤が待っている。円陣を組んだ後、ボールは放たれた。
小澤が丁寧にボールをセットし、難しいフェイントはせず、シンプルに
山堀が強烈なドラッグフリックを放つ。ボールはゴール左隅に向かって
一直線に飛んでいく。そして、「ガツン」という音と共にボールが
何かに当たって跳ね返ってきた。
ゴールと思って歓声を挙げる観客だったが、当の選手達の表情は
一様に暗い。実は山堀のシュートはゴールに当たって戻ってきたのでは
なく、ポストに当たって戻ってきたのだった。

結局ドイツは無失点でこの最終予選を勝ち抜いた。予選リーグも
含めると得点34、失点0という圧勝劇。世界ランク1位の力をまざまざと
見せ付けた。



その世界最高レベルにあるドイツに日本は前半から、積極的なプレスと
運動量で粘った。特に目を見張ったのが、今大会のMVPにも輝いた
ドイツの#17ティモの巧みな縦パスを牽制し、ドイツのスピード溢れる
攻撃を遮断し、得点王の#19クリストファー・ゼラーを孤立させる。
押し込まれる時間帯の方が当然長いが、GK三好、FB山堀らを中心にした
懸命の守備でドイツに得点を許さなかった。



だが、均衡が破れたのは日本のミスからだった。センターライン付近で
パスカットされると、#22マティアスが片手一本のリバースドリブルで
左サイドに流れながら、中央にパス。これを#23フロリアンは軽い
タッチで押し込むだけでよかった。



これで前に出るしかなくなった日本は、必死の攻撃を仕掛ける。
19分にもらったPCは山堀がシュートを放つものの、ドイツGKのスーパー
セーブにあってゴールできず。その他にも坂本のシュート等チャンスは
あった。何せ前半のシュート数は日本がドイツを上回っていたのだ。



32分のドイツに与えたPCを止めて意気軒昂とする日本代表だったが、
徐々に体力が落ちていくのは目に見えてわかってきた。
前述した縦パスが簡単に通る様になってきたからだ。

その不安は見事に的中する。後半畳み掛けるドイツに手も足も
出なくなる。39分スピードで振り回され、与えたPCから失点。
鉄壁の守備を誇るドイツ相手に2点のビハインドに勝利は絶望的。



そして47分には同じくPCから失点し3-0。この時点で勝敗の
行方は見えつつあった。こうなると焦点はたった一つ。

「ドイツから1点をもぎ取れるか。」

そこだけに観客の興味は移っていった。ドイツの変幻自在のパスも
ドリブルも全て堪能した。それを受け止めて、五輪出場が絶望で
ある事も飲み込んで、せめてもの思いをボールに込めた。
無失点のドイツの鼻を明かしたかった。



前線では坂本と古里が必死に走り続け、小澤は左膝をテーピングで
グルグル巻きの状態での出場だったが身体を張った。

残り2分でPCから4点目を献上しても、気持ちは切れなかった。
そして、迎えた残り0秒。最後のプレー。神様が与えてくれた、
最後のチャンス。
所属の名古屋フラーテルではFWの山堀に全てを託したが。。。



ドイツとの実力差は如何ともしがたいものがあった。
特に守備陣は長いリーチと激しいプレッシャーで相手から簡単に
ボールを奪い取った。まさにベルリンの壁。
日本代表のシュートはそれまでゴールから弾かれていたが、
最後の最後にポストに当たった。これは小さな前進かも知れない。
だが、小さくとも前進し続ける事で、高くて大きく分厚い
ベルリンの壁をいつか破る事が出来るかも知れない。

この予選を契機にホッケー人気が爆発するかと言えば、それは
気が早い話だが、少しずつ着実に改善するは改善し、前進する事で
世界との差は縮まっていくと信じたい。ボールに沢山の人の思いを
込める事で、最後にポストを叩くまでに変える事ができたのなら、
きっと次はそれをゴールに変えられる筈である。

ラベル:ホッケー
posted by おかき at 17:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ホッケー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック