スタジアムに足を運んだ約4万6千人のうち、4万人近くを占め
自軍ゴール裏はもちろんメインスタンド、バックスタンドの
殆どの席を占拠した。まさに横浜に侵攻した浦和軍と言ってもいい。
だが、どれだけ数の論理で席を占拠しても大切なのは、
どこに気持ちがあるかである。選手入場の際に、浦和は禁止されている
場所から横断幕を2階から1階に垂らした。大人な横浜サポーターの
多くはそれを受け入れていたが、一部の人達は明らかにホーム側で
あるのに、なぜ浦和の幕を自分の目の前に下ろすのかとその幕を遮る様
に横浜の青いマフラーを掲げ続けた。たった数分の出来事であったが、
その光景は私の心を強く打った。横浜のゴール裏を除けば、赤い波に
飲み込まれている青き雫だったがそれぞれがそれぞれのやり方で
横浜への思いを貫いた。浦和から見れば鼻で笑う光景に写っただろうが
そのささやかな抵抗は、試合にまで伝染した。

ゲームは開始直後より横浜が浦和を圧倒する。これはゲームプランを
立てていたのだろう。多少無理をしても中盤は中盤のポンテ・長谷部を
しっかりとマークし、ゲームを組み立てさせない。サイドへはある
程度自由に展開させて、中央の最後の部分だけをケアした。個人技で
敵わないなら、人数を掛けて挟み込み自由にさせない。横浜の抵抗は
序盤から激しかった。

ただ想定外だったのは、浦和のパフォーマンスの悪さだろうか。永井や
長谷部がサイドを破っても、クロスは全く合わない。低い位置からの
サイドチェンジは味方の頭を越えていく。守備面はこれが首位だった
のかと思わせる様な失望する内容。目の前のボールに足が出ず、
後手後手に回り横浜の根占・滝澤に山口を加えた中盤にボールを
好きな様に回されていた。

横浜の流れのまま迎えた前半17分。左サイドを破った三浦知は、中央に
2列目から走りこんだ根占にグランダーのクロスを供給。根占は追い
すがるDFをモノともせず、角度を変えるだけでよかった。横浜FC先制。
首位?優勝?勝ち点?そんな事情は関知しない。なぜならここは
「横浜」だから。この街は自分達が守らなければならない。
赤い戦士達にスタジアムを占領されても、散り散りになった仲間は
声を出し、各々が戦っていた。
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