熊川の投入から5分。横浜の右サイドで川崎・三笘がドリブルを仕掛けると熊川は追いすがる事が出来ず、対応した星がペナルティエリアで三笘を倒しPKを献上し逆転を許すと、手塚と志知を入れて中盤の運動量を増やしにかかった。ただこれらの交代は横浜に勢いを取り戻せなかった。彼らが入った直後に、瀬古がコーナーキックのこぼれ球にハンドを犯しPKを献上し3点目を決められると、その5分後には小林悠にシュートを決められてあっという間に4点目を許してゲームは決まった。
途中で入った手塚は守備に忙殺され、持ち味の小気味の良いテンポのパスワークなどは見られなかった。志知は仙台戦と同じく最後の仕掛けの部分でスペースがないと手詰まりになり、チャンスメイクはならなかった。さらに最終盤で投入された皆川、中村も同様に見せ場らしい見せ場もなくゲームは、さらに1点を加えた川崎に1-5と敗れた。
後半15分までは拮抗していたと言っても過言ではないだろう。この試合スタメンに入った松尾が左サイドを支配し、斉藤光毅も川崎DF相手に一歩も退かない戦いを見せる。13年前、J1の舞台で川崎と戦った等々力陸上競技場での試合は燦燦たるものだったことを思えば、この横浜の戦いは対照的と言ってよい。守りを固めるが簡単にゴールを許し、前に出ようとすればさらに失点を重ねたあの時とはまるで内容が違う。横浜の適切なカバーリングがあり、そこでボールを奪っても前線目掛けてボールを蹴ることもなく、ビルドアップで川崎のプレスをかいくぐって相手を剥がして前を向こうとしていた。
メディア的には、カズ、俊輔、松井といったベテラン組中心という扱いの横浜だが、なんの蓋を開けてみるとスタメンの半分以上は25歳以下の選手達で占められていて、事前の情報とは対照的な横浜のサッカーは川崎のサポーターも唸らせたに違いない。
前半28分に、ゴール前のこぼれ球を川崎・脇坂に豪快に決められて意気消沈するでもなく、松尾や斉藤はより勇敢に仕掛け続けた。マギーニョが契約上出場できない右サイドも中山がスタメンで登場。守備の意識が高く、奪われまいという姿勢が積極性を欠いたが両サイドを支配しようとする横浜のサッカーは時に鋭くリードしている川崎にも息つく暇を与えなかった。
それが実ったのが後半14分。コーナーキックのこぼれ球を繋ぎ、左サイドから瀬古がクロスを入れ、星が落としたボールを松尾が左足でシュート。これが田代に当たってコースが変わってゴールネットに吸い込まれていった。そして、ここから川崎の二の矢が継がれるのだが。。。
控え選手の差がないかと言えば嘘になるが、素直に言えば川崎はそれだけJ1で経験と実績を積み重ねてきたのだから、横浜はそこに策で対抗しようとするのは自然な事。前半で少し揺さぶられて、足にきていたのもまた現実。後半リードされてからは、ビルドアップにも精彩を欠いたのは、運動量が落ちて適切なポジショニングやボールがないところでの動きが不足してしまった。
強い相手と戦う方が課題が見つかる。そういう意味では、この負けはただの負けでもないはずだ。2007年6-0で完封&大差負けし、意地で次こそはと言っていた時とは違う高揚感がある。2006年J1昇格させたチームのゴールハンターだった城、アレモン、アウグストを失い、全く別のチームになった2007年とはチームの作り方が対照的である。クラブとGMが明確な強化プランを作り、それに沿って選手を獲得し、強化してきて今がある。残り2か月で失速した2017年、勝ち点差1と1ゴールで涙を飲んだ2018年、途中で監督交代がありながら階段を駆け上がった2019年。悔しい思いを何度も味わいながら、それでも着実に横浜は歩みを進めてきた。
点差ほどの差はないと人は慰めてくたが、きっと点差ほどの差はある。それでも前を向けるだけの材料がある。川崎にとっては、いつもの大勝の試合だったかもしれない。横浜にとってはいつもの敗戦とは対照的な少しの自信と悔しさが三ツ沢にあった。
しっかり稽古をつけてもらい川崎には感謝です。
前で仕掛けるもスピードかわせず、スルーパスで完全に置き去りにされるなど、熊川選手にとってはほろ苦いJデビューだったかと思います。
点差ほどの力の差はないように思えましたが、完敗だったのは事実。
でもキョーワアンは頼もしかったし、これからが楽しみなチームです。
明日マリにキッチリ勝って、勢いをつけてホーム2連戦を迎えたいですね。