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2020年11月28日

2020年J1第29節 横浜FC-清水エスパルス「新しいトライの前に」

この試合は、累積警告で出場停止となった手塚不在の中で、横浜はどうやって自分達でボールを保持するのかという点にフォーカスしてスタジアムに向かった。先の広島戦では、3-4-2-1のミラーゲームに持ち込み相手の長所を消しながら、攻撃時には4-3-3の様な形でボランチがスペースを作りながら、あるいは埋めながら前進するスタイルで今季2敗している広島相手に互角の戦いとなった。

ところがスタートから驚いたのは私だけではないはずだ。試合開始5分に失点すると、直後の6分にも失点。秋のナイトゲームというだけでも寒いのに、それに輪をかけて体温を下げる様な重い重い2失点でゲームは幕を開けたのだった。



横浜は4バックでボランチが落ちないでゲームを組み立てようとしている。これまでは、センターに佐藤謙介や手塚が落ちてリズムを作りながら組み立てていたのだが、この試合ではそれをせず一枚前に残したままでトライしている。2枚のセンターバックと1ボランチの関係でどうビルドアップするか。枚数が足りないからここで踏ん張って2枚で出来るとという思いは理解できるが、その思いは開始早々打ち砕かれた。

特に2点目。南から安永への縦パスを清水の2人の選手のプレスで奪われてそのままミドルシュートを決められた。シュートを止められたのではという部分よりも、奪われ方がこのシステムがまるでなじんでいない事を示すと同時にまだ安永一人では厳しいという見方をせざるを得なかった。左利きの選手であれば、自分の左から来るボールに対してはダイレクトで自分の前方に捌く、あるいは左足のアウトサイドでトラップして収める事が出来る。右利きの選手が、内側でトラップしてしまうと右に運ぶにはスキルが必要で、足元で収めようとした瞬間を狙われプレスバックで奪われてしまった。



それと負傷から復帰した武田がインサイドハーフを務めていた事も結果としては、殆ど機能しない一因になってしまった。やり方が整理されていないのか、左サイドは気を利かせて開いて受ける武田、カットインしてサイドバックの上がりを待つ松浦、低い位置でボールを受けた時に縦に当てたい志知と全くかみ合っていない。下平監督のイメージとしては、4-1-4-1の様な形で、中盤を支配したかったはず。飲水タイムなどで修正を行った結果、左サイドからのクロスが上がり中山のヘディングシュートが生まれたりと形にはなったが、清水にその左サイドを攻略されて、ミドルシュートで3点目を決められてこの試合での新しい挑戦へのトライは幕を閉じたと言っていい。



後半、志知、松浦、武田と左サイドを一気に3選手交代して、4-4-2に戻して横浜はゲームの主導権を握りなおした。「いつもやっている形」と下平監督が語ったシステムは、その通り機能する。安永や瀬古がセンターバックの間に落ちて3バックの形でビルドアップして、相手を剥がしてサイドに展開する理想の形に。
後半11分に生まれた瀬古のゴールも、マギーニョが右サイドを崩して入れたクロスは、跳ね返されるも、それを拾った瀬古がキックフェイントで相手を交わしてミドルシュートを叩き込んで1点を返した。

が、そこから横浜の勢いは続かない。清水は2点差のまま、選手交代を行い守備を整理しなおしてゲームのクローズにかかる。横浜はアタッキングサードでの精度が高くなく、クロスは入るもののふんわりとした相手GKが簡単にキャッチできてしまう様なボールや、横に入るパスがズレてしまったりと中々かみ合わない。瀬古のゴールから試合終了まで30分近くあったが、それ以降大きなチャンスも生まれないまま試合終了。草野や皆川の投入も感覚的にはやや遅く、2点差からゲームを動かすには至らなかった。



前半の3点が重くのしかかるゲームとなった。後半だけ見たら1-0という声もあるが、それは一種の強がりでしかなく、サッカーは前後半で戦うスポーツ。後半清水も失点するまでは点差もあり身構えていた部分がある。力の差というよりも、この試合まで10日の準備期間で誤ったプロセスを踏んだと感じた。

サポーターはきっと練習試合、テストという感覚を持っただろうし、自分もそう感じる部分はあった。今シーズンは極論全敗しようが降格がないのでひたすら試すことは可能だ。この試合でのテストはどうか。2つの事を試そうとしている様に感じた。1つは手塚不在でのゲームプランで安永を代役にさせた事、もう一つは攻撃時3バックを止めて2枚でビルドアップする事。広島戦で手ごたえがあったシステムを手塚抜きで進化させようと考えたと自分の目には映るが、同時に2つのタスクの中心を彼に負わせたこと、そこに今までと違った立ち位置に選手を配した事でチームとして機能しなかった。
チームとして引き出しが増えるのは賛成だが、現状は短期間でコロコロ変わってしまっていると受け取れる。手ごたえは監督や選手自身がどう考えるかが結論ではあるが、外から見ていても今はこのステップに挑むタイミングなのだろうか。

3歩進んで2歩下がる。それを測るメジャーはないけど、この敗戦を2歩下がったと受け止めて、次に3歩前進する。それは新しいことにトライするのではなく、「いつも」やっている形で「いつも」安定した戦いをすることだと思う。
posted by おかき at 14:41| Comment(0) | 横浜FC2020観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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